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食品添加物とは何か|安全性の基準から、種類・見分け方まで

COLUMN / 食のはなし

食品添加物とは何か
安全性の基準から、種類・見分け方まで

「危険」という言葉の前に、まず仕組みを知る。

「食品添加物は体に悪い」という言葉を、一度は耳にしたことがあると思います。一方で、私たちの食卓は、添加物なしでは今の形を保てないほど、その恩恵を受けているのも事実です。今日は、食品添加物とは何か、どうやって安全性が決められているのか、そしてどう付き合っていけばいいのかを、感情論ではなく仕組みから整理します。

以前このコラムで「無添加」という言葉の実態についてお伝えしましたが、今回はその裏側にある「添加物そのもの」に焦点を当てます。敵か味方かを決めつける前に、まずは正しく知ることから始めましょう。

1食品添加物とは何か

食品衛生法では、食品添加物を「食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用するもの」と定義しています。つまり、原材料そのものではなく、製造や保存の過程で「加えられるもの」全般を指す言葉です。

食品添加物は、その由来によって大きく4つに分類されます。

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分類 内容
指定添加物 厚生労働大臣が安全性・有効性を確認し指定した、合成・天然を問わない添加物(約470品目)
既存添加物 長年使用実績のある天然添加物として、例外的に使用が認められているもの(紅麹色素等)
天然香料 動植物から得られる、着香目的の天然物質(バニラ香料等)
一般飲食物添加物 通常は食品として食べられているが、添加物としても使われるもの(寒天、イチゴ果汁など)

「添加物=化学的に合成されたもの」というイメージを持たれがちですが、実際には天然由来のものも数多く含まれます。「天然だから安全、合成だから危険」という単純な図式は、必ずしも成り立ちません。

2なぜ食品添加物は使われるのか

食品添加物が使われる理由は、大きく3つに整理できます。

① 保存性を高め、食中毒や食品ロスを防ぐ

保存料や酸化防止剤は、微生物の繁殖や油脂の酸化を抑え、食品を安全な状態で長く保つ役割を果たします。冷蔵・冷凍技術が発達した現代でも、流通過程での安全確保に欠かせません。

② 見た目・食感・風味を整える

着色料・甘味料・乳化剤などは、食品の色や舌触り、味わいを均一に保つために使われます。工場で大量生産する食品にとって、品質を一定に保つ重要な手段です。

③ 製造効率を上げ、価格を抑える

豆腐の消泡剤のように、製造工程をスムーズにするための添加物もあります。手間を減らすことで、価格を抑えて安定供給することにもつながっています。

こうした理由を見ると、食品添加物は「隠すべきもの」ではなく、「大量生産・大量流通という現代の食のインフラを支える技術」だということが分かります。問題は添加物の存在そのものではなく、何がどれだけ使われているかを、消費者が知る手段があるかどうかです。

3安全性は、どうやって決まっているのか

「危険性ランキング」のような情報を目にすると不安になりますが、実際の安全性評価は、感覚ではなく数値で管理されています。その中心にあるのがADI(一日摂取許容量)という考え方です。

ADIとは、「人が一生涯にわたって毎日摂取し続けても、健康への悪影響がないと推定される一日あたりの摂取量」のこと。内閣府の食品安全委員会が、動物実験で「影響が出ない量」を確認したうえで、その100分の1という大きな安全マージンをかけて設定します。実際に食品から摂取する量は、多くの添加物でこのADIを大きく下回っているのが実情です。

数字で見るADIの余裕度

たとえば保存料の一種であるソルビン酸は、体重50kgの人であれば理論上一日に何十グラムもの量を摂り続けなければADIに達しません。実際の食品中の含有量はごくわずかなので、通常の食生活で問題になることはまず考えられません。

もちろん、「基準値以下だから絶対に安全」と言い切ることに慎重な立場もあります。特に、複数の添加物を長期的に、日常的に摂り続けたときの複合的な影響については、まだ研究が発展途上の領域です。だからこそ、「基準内だから気にしない」でも「危険だから全否定」でもない、実態を知ったうえで自分の頻度と量を調整するという向き合い方が、現実的だと私たちは考えています。

4主な食品添加物の種類、早見表

原材料表示でよく見かける添加物を、目的別にまとめました。

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種類 目的 代表例
保存料 微生物の増殖を抑え、腐敗を防ぐ ソルビン酸、安息香酸
着色料 色を鮮やかに、均一に見せる カラメル色素、クチナシ色素
甘味料 砂糖に代わる甘みをつける アステルファムK、スクラロース
乳化剤 本来混ざらない水と油をなじませる グリセリン脂肪酸エステル
酸味料 酸味をつけ、味を引き締める クエン酸、乳酸
発色剤 食肉製品の色合いを保つ 亜硝酸ナトリウム
pH調整剤 食品の酸性・アルカリ性を調整し、保存性を高める クエン酸、リン酸塩
増粘剤・安定剤 とろみをつけ、食感を安定させる 増粘多糖類、ペクチン

5よく話題になる添加物を、事実で見る

インターネット上では「危険」と語られがちな添加物がいくつかあります。断定的な結論を出すことは控えますが、公的な規制状況を事実として整理します。

亜硝酸ナトリウム(発色剤)

ハムやソーセージの色合いを保ち、ボツリヌス菌の増殖を抑える目的で使われます。使用量には食品衛生法上の厳格な上限が定められており、その範囲内での使用が前提です。

アステルファムK・スクラロース(合成甘味料)

砂糖の数百倍の甘さを少量で再現できる甘味料です。日本を含む多くの国でADIが設定された上で使用が認められています。摂取量が気になる場合は、原材料表示で使用の有無を確認できます。

乳化剤

パンやアイスクリームなど幅広い食品に使われる一括表示可能な添加物群です。種類が多岐にわたるため、「乳化剤」という表示だけでは具体的に何が使われているかまでは分かりません。

こうした添加物の是非を個人で判断するのは簡単ではありません。だからこそ、「気になるものは避ける」「原材料がシンプルなものを選ぶ」といった、自分なりの物差しを持つことが、現実的な向き合い方だと考えています。

6原材料表示は、実はすべてを語っていない

原材料表示を確認する習慣があっても、実は表示されない添加物が存在することは、あまり知られていません。代表的なのが以下の2つです。

加工助剤

製造の途中で使うが、最終的な食品にはほとんど残らない、または効果を持たないもの。豆腐づくりの消泡剤が代表例で、表示が免除されます(詳しくは後述のコラムで解説しています)。

キャリーオーバー

原材料の製造段階で使われた添加物が、最終製品にごく微量しか残らず効果も発揮しない場合の表示免除ルールです。せんべいの味付けに使う醤油に含まれる保存料などが該当します。

つまり、原材料表示に何も書かれていないからといって、添加物が一切使われていないとは限らないのです。この事実を知っておくだけでも、表示との向き合い方が変わります。

添加物と、どう付き合うか

食品添加物は、正しく使えば私たちの食生活を支える技術です。しかし「便利だから」「安いから」といって、本来手間をかけるべき工程まで添加物に頼ってしまうと、食べ物本来の味や個性は失われていきます。

1988年の創業以来、私たちが大切にしてきたのは「本当に必要なものだけを、必要な分だけ」という考え方です。天然醸造の醤油、消泡剤を使わない豆腐、牧草で育った牛肉――手間をかけてつくられたものには、それだけの理由があります。すべての添加物を否定するのではなく、何が使われているかを知ったうえで、自分の基準で選べること。それが、私たちが食材を選ぶときにいちばん大切にしていることです。

よくある質問

Q. 食品添加物は、摂りすぎるとどうなりますか?

A. 個々の添加物にはADI(一日摂取許容量)が設定されており、通常の食生活でこれを超えることはまず考えられません。ただし複数の添加物を日常的に摂り続けたときの複合的な影響は研究途上のため、気になる場合は加工食品に偏りすぎない食生活を心がけるのが現実的です。

Q. 「天然」の添加物なら安全ですか?

A. 天然由来だからといって安全性の審査が免除されるわけではありません。既存添加物も含め、使用実績や安全性評価に基づいて認められています。「天然=安全、合成=危険」という単純な区分けは実態と異なります。

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情報源:
・食品衛生法における食品添加物の定義
・内閣府 食品安全委員会「食品添加物に関するリスク評価」
・消費者庁「食品表示基準(加工助剤・キャリーオーバーの表示免除規定)」