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輸入キウイに、防カビ剤は使われているのか。――「収穫後農薬」の本当のところ

COLUMN / 果物のはなし

輸入キウイに、防カビ剤は使われているのか。
――「収穫後農薬」の本当のところ

キウイフルーツの断面とつるを描いた植物画
追熟を待つ、ひと粒のキウイ。

輸入もののキウイフルーツを手に取ったとき、「これ、防カビ剤とか使われているのかな」とふと気になったことはありませんか。

レモンやグレープフルーツの表示を見ると、「防かび剤(イマザリル)」というような文字を目にすることがあります。あれと同じことが、キウイにも起きているのでは――そう思うのは、決して不自然なことではありません。以前「豆腐の消泡剤」についてお話ししたときと同じように、今日も「収穫後農薬(ポストハーベスト農薬)」について、わかっている事実をひとつずつ整理していきます。

結論から言うと、キウィー(キウイフルーツ)は、防カビ剤の表示の対象にも、防カビ剤(フルジオキソニル)の使用基準の対象にも含まれています。実際に輸入キウイでどの防カビ剤がどの程度使われているかは、公的な資料では確認できませんでしたが、使われた場合は、容器包装に物質名と用途名が表示されます。

防カビ剤は、実は「農薬」ではなく「食品添加物」

まず知っておきたいのは、収穫したあとの果物にカビを防ぐ目的で使われる薬剤は、日本の制度上「農薬」ではなく「食品添加物」として扱われるという点です。食品衛生法上は、使う時期によって、収穫前は農薬、収穫後は食品添加物と分けて整理されています(厚生労働省)。

そして、食品添加物として認められている防カビ剤を使った場合には、物質名と用途名を表示する決まりがあります。ただしこの表示は、すべての果物が対象というわけではなく、食品表示基準の別表第24に挙げられた農産物が対象です。かんきつ類とバナナのほか、キウィー(キウイフルーツ)も対象に含まれています(食品表示基準 別表第24、消費者庁「食品表示基準について」)。そのほか、アボカド、りんご、もも、パイナップルなど、全部で18品目が挙げられています。

レモンやオレンジ、バナナの表示に「防カビ剤」の文字を見かけるのは、こうした決まりがあるからです。キウイフルーツも同じ表示の対象に含まれていますので、防カビ剤を使った場合は、容器包装に物質名と用途名が表示されることになります。なお、容器包装に入れずにばら売りする場合は、食品表示基準ではこの表示は求められていませんが、消費者庁の通知は、事業者に対し、使用した旨を値札や近くの掲示などで表示するよう指導することとしています。

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果物 防カビ剤の表示 使用基準が定められている主な防カビ剤
かんきつ類 対象 イマザリル、オルトフェニルフェノール(OPP)、チアベンダゾール(TBZ)など
バナナ 対象 イマザリル、チアベンダゾール(TBZ)
キウイフルーツ(キウィー) 対象 フルジオキソニル

※物質ごとに、使える食品と残存量の上限が決められています(厚生労働省「食品、添加物等の規格基準」、食品表示基準 別表第24)。

お店で確かめるときは、パッケージの表示に「防かび剤(フルジオキソニル)」のような用途名と物質名の記載があるかどうかを見ます。ばら売りのキウイは、食品表示基準ではこの表示が求められていませんが、消費者庁の通知により、値札や近くの掲示などで使用した旨を表示するよう事業者が指導されています。記載が見当たらないときは、売り場の担当者に尋ねる方法もあります。

キウイの防カビ剤について、公的資料で確認できること

では、キウイは収穫後、どのように扱われているのでしょうか。

キウイは収穫した時点ではまだ硬く、そこから時間をかけて甘みとやわらかさが増していく「追熟」という過程を経て、食べごろになる果物です。

厚生労働省の「食品、添加物等の規格基準」では、防カビ剤は物質ごとに、使える食品と、残存してよい量の上限が決められています。キウィー(キウイフルーツ)については、フルジオキソニルを、1kgにつき0.020gを超えて残存しないように使用することとされています。一方、イマザリル、OPP、チアベンダゾールは、かんきつ類(イマザリルとチアベンダゾールはバナナも)に限られ、キウィーには使用できません。実際に輸入キウイでどの防カビ剤がどの程度使われているかは、公的な資料では確認できませんでした。

「何もチェックされていない」わけではない

とはいえ、輸入キウイの安全性が野放しというわけでもありません。

日本には、食品に残留する農薬、動物用医薬品、飼料添加物について、基準が定められていないものも含め、一定の量を超えて残留する食品の販売などを禁止する「ポジティブリスト制度」があります。対象は生鮮食品、加工食品を含むすべての食品です。なお、食品添加物はこの制度の対象ではなく、防カビ剤は、前の節のとおり食品添加物としての使用基準で定められています(厚生労働省)。また、輸入される食品は、輸入のたびに厚生労働大臣への届出が必要で、各地の検疫所が食品衛生法に適合しているかを確認し、違反した食品には廃棄や積み戻しなどの措置がとられます(厚生労働省)。残留農薬の基準そのものについては、以前「ネオニコチノイド系農薬」の回でも詳しくお話ししました。

「表示の義務があるかどうか」と、「安全性がチェックされているかどうか」は、別の話です。この違いを知っておくと、スーパーの果物売り場が、少しだけ違って見えてくるのではないでしょうか。

よくある疑問に、正直に答えます

1キウイには農薬がまったく使われていないということですか?

いいえ、そうとは言い切れません。栽培中に使われる農薬については、キウイも他の作物と同じくポジティブリスト制度の基準値の対象です。また、収穫後に使う防カビ剤についても、キウィーにはフルジオキソニルの使用基準が定められています。「防カビ剤の表示を見かけない」ことと、「農薬がゼロである」ことはイコールではありません。

2国産キウイなら、輸入ものより安心なのですか?

一概には言えません。国産にも輸入にも、栽培方法や管理体制には幅があります。大切なのは産地の国よりも、誰がどう育て、どう管理して届けているかだと私たちは考えています。

3皮ごと食べても大丈夫ですか?

キウイを皮ごと食べた場合について、公的な資料で個別に評価したものは確認できませんでした。東京都は、かんきつ類の防かび剤について、主に果皮に残り、種類によってはよく水洗いしたりゆでこぼしたりすることで残存量を減らせるが、気になる場合は皮をむいて食べるよう案内しています(東京都保健医療局「食品安全FAQ」)。キウイでも、気になる場合は、よく洗う、皮をむくといった対応があります。

それでも、私たちが「誰から届くか」にこだわる理由

こうした制度の話を知っても、「じゃあ何でもいいのか」というと、そうではないと私たちは思っています。

法律で定められた基準は、使える添加物や食品、残存してよい量などについての守るべき決まりです。以前「キウイを、まるごと信頼する」でご紹介したニュージーランドの生産者の有機JAS認証のキウイを、地球人倶楽部では取り扱っています。基準を満たしているかどうかのその先に、「どう育て、どう届けているか」まで信頼できる相手だと考えているからです。

キウイに限らず、輸入フルーツを選ぶときは、容器包装の表示や売り場の掲示で「防かび剤」などの記載を確かめたうえで、「誰が、どんな考えで育て、届けているか」にも目を向けてみてください。それも、遠くから届く果物と付き合っていくための、ひとつの見方だと思います。

よくある質問

Q. キウイに防カビ剤は使われているのですか?

A. 収穫後にカビを防ぐ目的で使う薬剤は、日本の制度上「農薬」ではなく「食品添加物」として扱われます。規格基準では、キウィー(キウイフルーツ)にフルジオキソニルという防カビ剤を使うことができ、残存量の上限も定められています。使った場合は物質名と用途名の表示が必要で、キウイフルーツは表示の対象に含まれます(食品表示基準 別表第24)。実際の輸入キウイでの使用状況は、公的な資料では確認できませんでした。

Q. キウイにも「防カビ剤」の表示は必要ですか?

A. キウイフルーツも、かんきつ類やバナナと同じく、防カビ剤の表示の対象です(食品表示基準 別表第24)。容器包装に入れて販売する場合は、使った防カビ剤の物質名と用途名の表示が求められます。ばら売りの場合、食品表示基準では求められていませんが、消費者庁の通知が、事業者に値札や近くの掲示などでの表示を指導するとしています。

Q. 防カビ剤は、農薬とは違うのですか?

A. 食品衛生法上は、収穫前に使う化学物質は農薬、収穫後にカビなどによる腐敗を防ぐ目的で使う化学物質は食品添加物として整理されています。厚生労働省は、これを使用時期による分類の違いとしています(厚生労働省)。


情報源:
・厚生労働省「防かび剤(ポストハーベスト農薬)について(Q&A)」
・厚生労働省「食品、添加物等の規格基準」(使用基準:イマザリル・オルトフェニルフェノール・チアベンダゾール・フルジオキソニル)
・食品表示基準(e-Gov法令検索)第19条・第20条・別表第24
・消費者庁「食品表示基準について」(通知)
・厚生労働省「食品に残留する農薬等に関するポジティブリスト制度Q&A」
・厚生労働省「輸入食品の安全確保」
・東京都保健医療局「食品安全FAQ:輸入のレモンやグレープフルーツに防かび剤が大量に使われていると聞きましたが…」
(2026年10月5日に内容を見直しました)

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