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同じ柿なのに、なぜ甘いものと渋いものがあるのか 渋を消す、昔ながらの知恵

COLUMN / 季節のはなし

同じ柿なのに、なぜ甘いものと渋いものがあるのか
渋を消す、昔ながらの知恵

富有柿・次郎柿・市田柿……産地と品種で読み解く、秋の実り。

柿が色づき始めると、庭先にも店先にも秋が深まります。同じ「柿」と呼ばれていても、そのまま生で甘く食べられるものと、渋くてそのままでは食べられないものがあることをご存知でしょうか。今日は、甘柿と渋柿を分ける「渋」の正体と、渋柿を甘くする昔ながらの知恵、そして全国の産地事情をご紹介します。

柿は日本で古くから親しまれてきた果物のひとつです。店先に並ぶ柿は大きく「甘柿」と「渋柿」の2種類に分かれますが、見た目だけで両者を見分けるのは容易ではありません。この違いを生んでいるのは、果肉に含まれる「タンニン」という成分の状態の違いです。

1なぜ、甘いものと渋いものがあるのか

柿の渋みのもとになっているのは、水に溶けやすい性質を持つ「水溶性タンニン」です。農林水産省によると、渋みは水溶性タンニンが口の中で溶けることで感じるもので、甘柿は収穫の時期になるとこのタンニンが水に溶けない「不溶性」へと変化するため、渋みを感じなくなるのだそうです。一方の渋柿は、タンニンが水溶性のまま残るため、そのままでは強い渋みが残ります。同じ柿の木になる実であっても、タンニンの状態が変化するかどうかで、甘柿と渋柿に分かれるということです。

2渋柿を甘くする、昔ながらの渋抜き

渋柿は、収穫してすぐには食べられません。そこで古くから行われてきたのが「渋抜き」という工程です。農林水産省の説明では、渋柿はアルコールや炭酸ガスを使って処理することで水溶性タンニンが不溶性に変化し、渋みを感じなくなるとされています。家庭では、へたの部分に焼酎などのアルコールを塗って密閉する方法も、昔から各地に伝わってきました。もうひとつの方法が、皮をむいて縄などに吊るし、天日と風にさらして乾燥させる「干し柿」です。水分が抜けていく過程でタンニンの性質が変わり、渋みの少ない、甘みが凝縮された保存食になります。長野県の「市田柿」のように、干し柿として仕上げることを前提に育てられている品種もあります。

3柿の品種、甘柿と渋柿の代表格

柿には数多くの品種があり、甘柿・渋柿それぞれに代表的な顔ぶれがあります。店先で名前を見かけたときの参考にしてみてください。

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品種 分類 特徴
富有柿 甘柿 果肉が緻密で果汁が多く、生食用として最も多く出回る品種
次郎柿 甘柿 角張った四角い形が特徴。果肉はやや硬めで、シャキッとした食感
平核無柿 渋柿 種がほとんどなく、渋抜き処理をしてから出荷される代表的な渋柿
市田柿 渋柿 長野県の伝統品種。主に干し柿に加工され、独自の食感が持ち味

出典:農林水産省「甘柿と渋柿の違いについて」ほか品種資料

4柿の産地を訪ねて

農林水産省近畿農政局が公表した令和6年産の収穫量統計によると、全国の柿の収穫量は16万7,300トンでした。都道府県別では和歌山県が3万2,100トン(全国シェア19%)で1位、奈良県が2万4,700トン(15%)で2位となり、両県だけで全国の34%を占めています。なお前年と比べると、カメムシによる落果や夏の高温による日焼けの影響で、和歌山県は15%減、奈良県は7%減という結果でした。

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都道府県 収穫量 全国シェア
和歌山県 32,100t 19%
奈良県 24,700t 15%
福岡県 13,000t 8%
岐阜県 12,400t 7%
新潟県 10,600t 6%

出典:農林水産省近畿農政局「令和6年産柿の結果樹面積、収穫量及び出荷量」(全国合計167,300t)

5生の柿と干し柿、栄養の違い

文部科学省の日本食品標準成分表(八訂)増補2023年によると、甘がき(生)100gあたりのビタミンC含有量は70mgで、柑橘類に劣らない量が含まれています。一方、干し柿にすると水分が抜ける分、エネルギーや食物繊維、βカロテンの含有量は大きく増えます。ビタミンCは乾燥の過程で失われやすいため、生の柿の方が多く残っている点も違いのひとつです。

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成分(100gあたり) 甘がき(生) 干しがき
エネルギー 63kcal 274kcal
ビタミンC 70mg 2mg
βカロテン 160μg 370μg
カリウム 170mg 670mg
食物繊維 1.6g 14.0g

出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」

地球人倶楽部でのお取り扱いについて

地球人倶楽部では、契約農家から届く旬の果物を取り扱っております。柿が店先に並ぶこの時期、産地や品種の違いにも目を向けながら、秋の実りを楽しんでいただければ幸いです。

よくある質問

Q. 甘柿と渋柿は、どうやって見分ければよいですか。

A. 見た目だけで判別するのは難しく、品種によって決まっています。渋柿は渋抜き処理やさわし柿・干し柿などの加工をしてから食べるのが一般的です(出典:農林水産省「甘柿と渋柿の違いについて」)。

Q. 渋柿はどうやって甘くするのですか。

A. アルコールや炭酸ガスを使って渋抜きをする方法や、皮をむいて干す「干し柿」にする方法があります。いずれも水溶性タンニンを不溶性に変化させることで渋みを感じなくします(出典:農林水産省「甘柿と渋柿の違いについて」)。

Q. 柿の産地はどこが多いのですか。

A. 農林水産省近畿農政局の統計(令和6年産)によると、和歌山県が全国収穫量の19%、奈良県が15%を占め、両県で全国の34%にのぼります(出典:農林水産省近畿農政局「令和6年産柿の結果樹面積、収穫量及び出荷量」)。

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※本記事は食材に関する一般的な情報をまとめたもので、効果・効能を保証するものではありません。数値は農林水産省および文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」の公表資料によります。体調や体質には個人差がありますので、気になる症状がある場合や持病のある方は、医療機関にご相談ください。

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