ネオニコチノイド系農薬の一覧 日本で登録されている7成分と、国の評価・基準の見方
COLUMN / 食のはなし
ネオニコチノイド系農薬の一覧 日本で登録されている7成分と、国の評価・基準の見方
日本の登録は7成分。評価は成分ごとに確認できます
ネオニコチノイド系農薬は、日本で7成分が登録されていると、食品安全委員会が2025年10月発行の広報誌で説明しています。成分名は、農林水産省が2016年に挙げた7種類です。成分ごとの一日摂取許容量(ADI)などは、下の表にまとめました。
ミツバチや人への影響は、機関によって示し方が異なります。この記事は結論を出さず、各機関の記述を並べます。成分の基本はネオニコチノイド系農薬とは何か。野菜の見分け方と、食卓で今日からできることをご覧ください。
1ネオニコチノイド系農薬の一覧(7成分の評価)
食品安全委員会は、ニコチンと類似の構造を持つ殺虫剤の総称で、国内外で野菜、果樹、稲等に幅広く使われていると説明しています。農林水産省の資料(2016年11月改定)は、カメムシ、ウンカ、アブラムシなどへの防除効果を挙げています。
| 成分 | ADI | ARfD | 食品安全委員会の結果通知 | 用途・使用場面で確認できたこと |
|---|---|---|---|---|
| イミダクロプリド | 0.057 | 0.077 | 2025年7月16日(再評価) | 殺虫剤 |
| クロチアニジン | 0.097 | 0.25 | 2026年6月10日 | 殺虫剤。水稲のカメムシ防除で散布が確認された成分(農林水産省) |
| チアメトキサム | 0.012 | 0.5 | 2026年6月10日(再評価) | 殺虫剤。同上 |
| ジノテフラン | 0.22 | 1.2 | 2026年7月29日(再評価) | 殺虫剤。同上 |
| アセタミプリド | 0.071 | 0.1 | 2014年12月16日(再評価は、2026年10月5日時点で通知の記載なし) | 殺虫剤 |
| チアクロプリド | 0.012 | 0.031 | 2018年10月23日 | 殺虫剤 |
| ニテンピラム | 0.53 | 0.6 | 2016年5月17日 | 殺虫剤 |
単位はADIがmg/kg体重/日、ARfDがmg/kg体重です。食品安全委員会は、ADIを一生涯毎日摂取し続けても有害影響が認められない1日当たりの量、ARfDを一度に大量に摂取しても有害影響が認められない量と説明しています。表は評価の数値を並べたもので、成分どうしの優劣を示すものではありません。登録済みの農薬は15年ごとに再評価されます(食品安全委員会)。
成分ごとの登録作物は、公的資料では確認できなかったため載せていません。農林水産省の2016年の報告書は、水稲のカメムシ防除で散布が報告されたネオニコチノイド系として、クロチアニジン、ジノテフラン、チアメトキサムを挙げ、水稲のカメムシ防除でのネオニコチノイド系の割合を散布延べ面積ベースで約63%(2012年度の同省調べ)としています。
スルホキサフロルは、食品安全委員会が2024年12月4日付でADI 0.042、ARfD 0.25と通知した殺虫剤ですが、上の7成分に含まれず、ネオニコチノイド系かは公的資料で確認できませんでした。
登録成分数は、2016年の農林水産省の資料も2025年の食品安全委員会の資料も7ですが、後者は成分名を挙げていません。現在の登録は、農林水産省の農薬登録情報提供システムでご確認ください。ほかの農薬は、グリホサートを扱ったグリホサートとは何かをご覧ください。
2残留基準の考え方
消費者庁は、食品安全委員会が人が摂取しても安全と評価した量の範囲で、食品ごとに残留基準を設定していると説明しています。基準を超えて残留する食品の販売や輸入は、食品衛生法で禁止されています。
厚生労働省のQ&Aによると、2006年5月29日にポジティブリスト制度が施行され、残留基準のない農薬等にも、人の健康を損なうおそれのない量として一律基準0.01ppmが定められ、超えて残る食品は販売等が禁止されます。農林水産省は使用基準を定めて農薬を登録し、環境省は環境面の基準を設定します(食品安全委員会)。
個別の基準値は、消費者庁が案内する「基準値データベース」(日本食品化学研究振興財団の運営)で検索できます。現在の個別の数値は公的資料から確認できなかったため、掲載していません。詳しくは残留農薬の基準とは何かをご覧ください。
3ミツバチ・人への影響:機関ごとの記述
農林水産省
登録の審査で、蚕、蜜蜂などの有用生物に悪影響を及ぼさないことを確認していると説明し、日本では蜂群崩壊症候群(CCD)は報告されていないとしています(2016年改訂)。2013~2015年度の被害事例調査では、検出された殺虫剤の被害への影響の程度は特定できませんでした。
欧州委員会
2018年5月30日に官報公示された規則で、イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサムの屋外使用を禁止しました(温室内は可能)。アセタミプリドはEFSA(欧州食品安全機関)が蜜蜂へのリスクが低いと判断し、承認が2033年2月28日まで更新されています。チアクロプリドは2020年2月3日に承認が撤回されました。
食品安全委員会・国立環境研究所
食品安全委員会はイミダクロプリドの評価で、発達神経毒性は否定できないものの、設定したADIとARfDを守ることで安全性を担保できると判断しました。国立環境研究所のエコチル調査(8,538組)では、妊娠中の母親の尿中濃度と子どもの発達との間に統計学的な関連は見られませんでした。研究所は、一つの調査だけでは十分な証拠といえないとも述べています。
4選ぶときの見方
農薬の使用状況は、栽培表示から手がかりが得られます。農林水産省は、有機JASを化学的に合成された農薬や化学肥料に頼らない栽培を基本とする認証と説明しています。特別栽培は、節減対象農薬の使用回数と化学肥料の窒素成分量が地域の慣行の50%以下で、使った資材名・用途・回数は容器かインターネットなどで確認できます。「無農薬」「減農薬」は表示禁止事項です。詳しくは有機栽培・特別栽培・無農薬・低農薬の違いと「有機JAS」と「特別栽培」の違いをご覧ください。洗って落ちるかどうかは野菜の農薬は洗えば落ちるのかで扱います。
5地球人倶楽部の扱い
1988年創業の会員制の食材宅配です。農産物は、農林水産省のガイドラインに沿った基準を満たしたものと、当社の基準を満たしたものを扱っています。栽培方法は「有機JAS」「無」「特別栽培」「低」の4種類の表記で確認できます。
よくある質問
Q. 7成分は今も全部登録されていますか。
食品安全委員会の2025年の資料は7成分の登録としています。成分別の現状は、農林水産省の農薬登録情報提供システムで確認できます。
Q. ADIを超えなければ問題ないのですか。
食品安全委員会はADIを、一生涯毎日摂取し続けても有害影響が認められない量と説明しています。評価は再評価で更新されます。
Q. 日本とEUで規制が違うのはなぜですか。
公的資料では理由までは確認できませんでした。EUはEFSAの評価を踏まえた規則、日本は農林水産省の審査と被害調査が、それぞれ資料に示されています。
出典
- 食品安全委員会「食品安全 Vol.62」(2025年10月)
https://www.fsc.go.jp/visual/kikanshi/k_index.data/vol62_chapter1.pdf - 食品安全委員会 評価書情報(イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム、ジノテフラン、アセタミプリド、スルホキサフロル)
https://www.fsc.go.jp/fsciis/evaluationDocument/show/kya20221214222 ほか(各ページ末尾の評価案件ID: kya20221214223、kya20221214232、kya20221214231、kya20221214227、kya20241002161) - 食品安全委員会 農薬評価書 アセタミプリド(2014年12月通知)、チアクロプリド(2018年10月通知)、ニテンピラム(2016年5月通知)
https://www.fsc.go.jp/fsciis/evaluationDocument/show/kya20140702188 、kya20111011227 、kya20151013443 - 農林水産省「蜜蜂被害事例調査」(2016年7月)
https://www.maff.go.jp/j/press/syouan/nouyaku/pdf/160707-02.pdf - 農林水産省「農薬による蜜蜂の危害を防止するための我が国の取組(2016.11月改訂)」
https://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_mitubati/ - 農林水産省「同(Q&A)(2016.11月改定)」
https://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_mitubati/qanda.html - 農林水産省「農薬による蜜蜂への影響について」(2019年7月更新)
https://www.maff.go.jp/j/nouyaku/n_mitubati/honeybee.html - 農林水産省 農薬登録情報提供システム
https://pesticide.maff.go.jp/ - 消費者庁「食品中の残留農薬等の基準設定について」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/pesticide_residues/ - 厚生労働省「食品中の残留農薬等」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/zanryu/index.html - 厚生労働省「ポジティブリスト制度に関するQ&A(一律基準)」(2006年)
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/zanryu2/dl/060329-1f.pdf - 農林水産省「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」
https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/tokusai_a.html - 農林水産省「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」パンフレット
https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/tokusai_pamph_a.pdf - 農林水産省「有機食品の検査認証制度」
https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/yuuki.html - 欧州委員会 Food Safety「Neonicotinoids」
https://food.ec.europa.eu/plants/pesticides/approval-active-substances/renewal-approval/neonicotinoids_en - 国立環境研究所「母親の尿中ネオニコチノイド系農薬等濃度と子どもの発達との関連(エコチル調査)」(2023年11月14日)
https://www.nies.go.jp/whatsnew/2023/20231114/20231114.html