ロコモティブシンドロームとは何か 「立つ・歩く」を支える力が、静かに衰えていく理由
COLUMN / からだのはなし
ロコモティブシンドロームとは何か
「立つ・歩く」を支える力が、静かに衰えていく理由
「階段の上り下りが何となくつらい」「つまずくことが増えた」——そんな小さな変化を、年齢のせいだと片付けてしまうことは少なくありません。しかし骨・関節・筋肉といった運動器の衰えは、自覚症状が出にくいまま進むことがあります。
日本整形外科学会は、この状態を「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」と名づけ、早い段階で気づき、対策を始めることを呼びかけています。病気の名前ではなく、「立つ」「歩く」という日々の動作を支える力が、骨・関節・筋肉のさまざまな要因によって少しずつ低下していく状態全体を指す言葉です。今日は、公的な資料をもとに、ロコモの仕組みと、自分の状態を知る方法、今日から始められる備えを整理します。
1ロコモティブシンドロームとは何か
ロコモティブシンドロームとは、「運動器の障害のために立ったり歩いたりするための身体能力(移動機能)が低下した状態」と日本整形外科学会が定義するものです。背景には、変形性膝関節症や骨粗しょう症、脊柱管狭窄症といった骨・関節・筋肉・神経にまたがる病気や、加齢による筋力の低下などが重なって関わっているとされています。特定の一つの病気を指すのではなく、こうした要因が組み合わさって移動する力そのものが弱っていく状態を、まとめてとらえるための言葉です。日本整形外科学会は、住民を対象としたロコモ度テストの調査結果から、ロコモ度1以上に該当する人を4,590万人と推定しています。
2自分の今を知る「ロコモ度テスト」
ロコモは自覚症状が出にくいまま進むことが知られています。そこで日本整形外科学会は、自宅でも実施できる「ロコモ度テスト」を用意しています。片脚で台から立ち上がれるかを調べる「立ち上がりテスト」、歩幅を調べる「2ステップテスト」、体の状態や生活状況を尋ねる「ロコモ25」の3種類があり、結果によって移行度(ロコモ度)が1から3まで判定されます。目安は次の表の通りです。
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| 段階 | 立ち上がりテストの目安 | 2ステップテストの値 |
|---|---|---|
| ロコモ度1 | 片脚で40cm台から立てないが、両脚で20cm台から立てる | 1.1以上1.3未満 |
| ロコモ度2 | 両脚で20cm台から立てないが、30cm台からは立てる | 0.9以上1.1未満 |
| ロコモ度3 | 両脚で30cm台からも立てない | 0.9未満 |
出典:日本整形外科学会「ロコモONLINE」ロコモ度判定方法
3見過ごされやすい理由を、データで見る
ロコモが見過ごされやすいのは、骨折や大きな病気のように「ある日突然」自覚するものではなく、少しずつ移動機能が落ちていくためです。厚生労働省の調査では、要支援者(日常生活の一部に見守りや手助けが必要な段階)が支援を必要となった原因の上位に、関節疾患や骨折・転倒が並んでいます。
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| 順位 | 要支援者になった主な原因 | 割合 |
|---|---|---|
| 1位 | 関節疾患 | 19.3% |
| 2位 | 高齢による衰弱 | 17.4% |
| 3位 | 骨折・転倒 | 16.1% |
出典:厚生労働省「2022(令和4)年国民生活基礎調査の概況」
関節疾患と骨折・転倒を合わせると3割を超え、「高齢による衰弱」も運動器の弱りと関わりが深いと考えられています。要介護・要支援の入口で運動器の問題が大きな割合を占めていることは、日頃からの備えの大切さを示すデータといえるでしょう。
4今日からできる「ロコトレ」
日本整形外科学会は、ロコモの進行を緩やかにするための運動として「ロコトレ」を紹介しています。代表的なのは、転倒しないよう机などに手をついて行う「片脚立ち」(床につかない程度に片脚を上げ、左右とも1分間を1日3回が目安)と、足を肩幅に広げてお尻を後ろに引くようにゆっくり膝を曲げる「スクワット」(5〜6回を1日3回が目安。膝の曲がりは90度を大きく超えないようにし、動作中は息を止めない)の2つです。スクワットが難しい場合は、イスからの立ち座り動作を繰り返す方法に置き換えられるとされています。持病がある場合や、動作中に痛みを感じる場合は、始める前に医療機関へ相談することが勧められています。
地球人倶楽部でのお取り扱いについて
地球人倶楽部では、筋肉のもとになるたんぱく質を含む平飼い卵や契約牧場の乳製品、カルシウムを含む乾物・小魚なども取り扱っています。日々の食事に運動器の健康を意識した食材を取り入れる、一つの選択肢としてお役立ていただければ幸いです。
よくある質問
Q. ロコモティブシンドロームと「老化」は、何が違うのですか?
A. 老化は誰にでも起こる自然な変化ですが、ロコモは骨・関節・筋肉などの障害によって移動機能が低下した状態を指します。早めに気づいて対策すれば、進行を緩やかにできるとされています。
Q. ロコモ度テストは、自分一人でもできますか?
A. 「立ち上がりテスト」や「2ステップテスト」は自宅でも実施できる簡易的なテストです。ただし正確な判定や治療が必要かどうかの相談は、整形外科など医療機関で行ってください。
Q. ロコトレは、毎日しなければ効果がないのですか?
A. 片脚立ちは1分間を1日3回、スクワットは5〜6回を1日3回が目安とされていますが、体調に応じて無理のない範囲で続けることが大切です。痛みがある場合は中止し、医療機関にご相談ください。
本記事は一般的な情報の提供を目的としており、特定の症状の改善や治療効果を保証するものではありません。体調や症状について気になる点がある場合は、医療機関や専門家にご相談ください。