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保存料とは何か|添加物に頼らない、昔ながらの保存の知恵

COLUMN / 保存食と発酵のはなし

保存料とは何か
添加物に頼らない、昔ながらの保存の知恵

冷蔵庫がなかった時代、人は塩と発酵で食べ物を守ってきた。

「保存料不使用」という表示を見て、なんとなく安心した経験はありませんか。でも、保存料が果たしている役割を正しく知らないまま「不使用」だけを喜ぶのは、少しもったいないことでもあります。今日は、保存料という添加物の役割から、それに頼らずに食べ物を保存してきた昔ながらの知恵、そして台風や災害への備えという視点までを、まとめてお伝えします。

以前のコラムで食品添加物全般の仕組みをお伝えしましたが、今回は「保存」というテーマに絞って、もう一歩踏み込みます。

1保存料とは何か

保存料は、食品添加物のうち微生物の増殖を抑え、腐敗や食中毒を防ぐ目的で使われるものを指します。カビや細菌は、栄養・水分・温度の条件がそろえば短時間で増殖します。保存料はこの増殖を抑えることで、食品を安全な状態のまま、より長く食卓に届ける役割を担っています。

代表的な保存料には、ソルビン酸・安息香酸・しらこたん白(プロタミン)などがあります。それぞれ対象となる微生物や適した食品が異なり、用途に応じて使い分けられています。

2「保存料不使用」の裏側にあるもの

「保存料不使用」と書かれた商品が、必ずしも保存性を犠牲にしているとは限りません。実際には、次のような方法で保存性を補っていることが多くあります。

方法 仕組み
pH調整剤 食品を酸性に保ち、微生物が繁殖しにくい環境をつくる
高温加熱殺菌 容器ごと加熱して微生物を死滅させる(レトルト食品等)
脱酸素剤・窒素充填 酸素を取り除き、好気性の微生物の増殖を抑える
流通の低温管理 保存料の代わりに、チルド流通で低温を保ち続ける

つまり「保存料不使用」は、保存料という一つの手段を使わないだけで、何らかの形で保存性は別の方法によって確保されていることがほとんどです。「不使用だから何もしていない」わけではない、という点は知っておく価値があります。

3冷蔵庫がなかった時代の、保存の知恵

保存料も冷蔵技術もなかった時代、人々は経験の中から食べ物を長持ちさせる方法を編み出してきました。その多くは、微生物の働きそのものを「抑える」のではなく「味方につける」という発想に基づいています。

昔ながらの方法 原理 代表例
発酵 乳酸菌等を増やし、他の腐敗菌が入り込めない環境をつくる ぬか漬け、味噌、醤油
塩蔵 高濃度の塩で微生物から水分を奪い、増殖できなくする 梅干し、塩漬け野菜
乾燥 微生物の増殖に必要な水分そのものを取り除く 干し野菜、乾物、鰹節
糖蔵 高濃度の糖で、塩蔵と同じ原理で水分を奪う ジャム、砂糖漬け
酢漬け 酸性の環境をつくり、多くの腐敗菌の働きを抑える ピクルス、南蛮漬け

これらの方法に共通しているのは、「腐敗させる菌を抑え込む」のではなく「その環境で生きられる有用な菌を先に住まわせてしまう」という発想です。ぬか床や味噌が長く使い続けられるのは、まさにこの原理によるものです。

4台風・災害への備えとしての「保存食」

8月から9月にかけては、台風や大雨による停電・断水のリスクが高まる時期です。市販の非常食を備蓄することも大切ですが、昔ながらの保存食は、そのまま優秀な非常食にもなります。

常温で長期保存できる

梅干し・味噌・干し野菜・乾物は、冷蔵庫が使えない停電時でも常温でしっかり日持ちします。

調理の手間が少ない

ぬか漬けや梅干しは、そのまま食べられるため、火や水が限られる状況でも食卓に彩りと栄養を加えられます。

日常使いと備蓄を分けなくていい

「非常食用」として買い置くのではなく、普段から作り置き・買い置きしている保存食が、そのまま備えになる。これは「ローリングストック」という考え方にも通じます。

ぬか床やこんにゃくづくりに挑戦することは、実は災害への備えを暮らしの一部に組み込むことでもあります。

保存料も、昔ながらの知恵も、正しく選べばいい

保存料は、大量生産・大量流通という現代の食を支える技術です。一方で、発酵・塩蔵・乾燥といった昔ながらの方法は、手間はかかりますが、添加物に頼らずに保存性と栄養、そして味わいを同時に手に入れる知恵でもあります。

地球人倶楽部が保存食のコラムを続けているのは、こうした知恵を、忙しい毎日の中でも取り入れやすい形でお伝えしたいからです。「保存料不使用」を選ぶことと、「保存料に頼らない暮らし方」を知ることは、似ているようで少し違います。どちらも知ったうえで、自分に合う方法を選んでいただければと思います。

よくある質問

Q. 発酵食品は、保存料入りの食品より安全ですか?

A. 「安全性が高い・低い」という単純な比較はできません。発酵食品は正しい塩分濃度や衛生管理のもとでつくることが前提です。管理が不十分だと、かえって傷みやすくなることもあるため、手順を守ることが大切です。

Q. 保存食を非常食として備える場合、何日分くらい用意すればいいですか?

A. 一般的な防災の目安は最低3日分、可能であれば1週間分とされています。梅干しや味噌などの保存食は、日常的に使うものを少し多めにストックしておく「ローリングストック」の考え方と相性が良い備え方です。

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情報源:
・食品衛生法における食品添加物(保存料)の分類
・内閣府 食品安全委員会「食品添加物に関するリスク評価」
・農林水産省「災害時に備える食料品ストックガイド」の考え方(ローリングストック)