コラム
有機野菜を支える「地消」の輪、関西22市町村|日経記事を読んで、その2|地球人倶楽部
COLUMN / 日経新聞を読んで
有機野菜が「特別」でなくなる日
関西22市町村の挑戦を読んで
「有機野菜は特別なもの」――そう思われていた時代が、少しずつ終わろうとしているのかもしれません。2026年7月31日の日本経済新聞電子版「データで読む地域再生・関西」は、有機農業に取り組む自治体が関西2府4県で22市町村にのぼったと報じました。象徴的だったのは、神戸市西区で開かれた、ある直売イベントの様子でした。

1「地消」という、いちばん近い答え
7月20日、神戸市西区で開かれた農産物直売イベント「ウェルアベニューマルシェ」。猛暑の中でも、会場には人が途切れなかったといいます。出店者の多くは有機農家。2023年に独立した久保浩俊さん(52)は「有機はじっくり育つ。お客さんからは『味が濃い』と言われる」と話していたそうです。
神戸市は2024年10月に「オーガニックビレッジ」を宣言しました。農林水産省が掲げる有機農業拡大の方針を受け、販路拡大・消費者へのPR・学校給食での活用を実施計画に盛り込んでいます。遠くの誰かに売るのではなく、まず地元で買ってもらう。そのための場を、月に一度、決まった日に開き続けているのだそうです。
2土地の数だけ、有機に至る理由がある
奈良県宇陀市の山口農園は、170棟のハウスで年間約20品目の野菜を育て、スーパーや商社、飲食店など約70社に卸しています。社長の山口貴義さん(53)は、市がオーガニック宣言をしたことで「行政など横の関係が強まった」と話します。ただし規模を広げたくても、農業を志す人を確保するのは難しい。「現状維持が精いっぱい」というのが実感だそうです。
滋賀県甲賀市は、少し違う理由で有機に向かいました。特産の茶が、コロナ禍で販売価格を落とした。そこで栽培方法を変えて付加価値を高めようと、有機農法を選んだといいます。海外では有機農産物への安定したニーズがあり、抹茶ブームも追い風となって、価格は上昇傾向にあるとのことでした。
記事に登場する生産者たちが、口をそろえて挙げていたのが「土作り」でした。微生物の働きで通気性や水はけに優れた、ふかふかの土を作るには、どうしても人の手が要る。効率化とは正反対の、時間のかかる仕事だということです。
3「有機の面積は、まだ1%に満たない」
神戸市は2025年度末時点で、計画を上回る33人が有機農家となり、有機栽培の耕地面積は38ヘクタールに広がりました。それでも、市内の総耕地面積の1%に満たないのだそうです。国は耕地面積に占める有機農業の割合を、2030年度までに25%へ高める目標を掲げていますが、記事はその道のりの遠さも、正直に伝えていました。
数字だけを見れば、まだ小さな動きです。それでも22の市町村が、それぞれの土地の事情に合わせて、この小さな一歩を選んだという事実に、私たちは励まされる思いがしました。
41988年から、私たちが見てきた景色
地球人倶楽部は1988年、まだ「有機」という言葉が今ほど知られていなかった頃から、有機野菜を家庭に届けてきました。私たちにとって有機野菜は、記事に出てくる自治体や生産者の方々と同じように、特別な日のためのものではなく、日々の食卓の一部であってほしいものです。
神戸のマルシェも、宇陀の農園も、甲賀の茶畑も、規模も理由もそれぞれ違います。それでも根っこにあるのは同じ、土地と生産者の手間を、きちんと味わいに変えていくという姿勢だと感じます。私たちの宅配も、生産者の顔が見える野菜を、3,000品以上の中から1個単位でお選びいただけることを大切にしています。
参考:日本経済新聞 電子版「有機野菜、神戸産は直売会で『地消』拡大 関西22市町村が取り組み」データで読む地域再生 関西(2026年7月31日、海野太郎)
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監修者:地球人倶楽部 編集部