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「今日の献立、何にしよう」が、いちばん疲れる。――「決断疲れ」という科学

COLUMN / 暮らしのはなし

「今日の献立、何にしよう」が、
いちばん疲れる。――「決断疲れ」という科学

夕方の台所で献立に迷う様子を描いた挿絵
夕方、冷蔵庫の前で立ち尽くす、あの数分。

仕事を終え、買い物袋を下げて帰ってきて、冷蔵庫を開けた瞬間。「今日、何つくろう」という声が、頭の中でいちばん重たく響く――そんな経験はありませんか。

献立を考えるのがつらい、という悩みは、決して珍しいものではありません。むしろ、毎日料理をする人のほとんどが、多かれ少なかれ抱えている感覚だと思います。今日は、この「献立疲れ」の正体について、少し立ち止まって考えてみます。

それは、工夫が足りないからではありません

心理学には「決断疲れ(decision fatigue)」という考え方があります。人が一日のうちに下せる質の良い判断の量には限りがあり、些細な決断であっても数を重ねるごとに、判断の質と気力が目減りしていく、というものです。

朝の身支度から、仕事上の判断、通勤中の細かな選択まで。夕方には、その日すでに数えきれないほどの決断を終えています。献立を考えるのが夕方につらくなるのは、意志の弱さではなく、一日の終わりに置かれているタイミングそのものに理由があるというわけです。

「毎日、何品も選ぶ」という、地味に大きな仕事

献立を決めるという作業は、実は一つの決断ではありません。主菜・副菜・汁物、それぞれの食材、栄養のバランス、冷蔵庫の在庫、家族の好み、使い切りたい食材――これだけの要素を、毎日、頭の中で同時に処理しています。

レシピの選択肢が多いことも、時に負担を増やします。何百通りもの候補から選ぶという行為そのものが、すでに小さな決断の積み重ねだからです。特定の家事担当者だけの悩みではなく、毎日台所に立つ人であれば、性別や世代を問わず起こりうる、ごく普遍的な疲労だといえます。

決断の数を、そもそも減らすという発想

献立疲れへの一般的な対処法としてよく語られるのが、「曜日ごとに献立の型を決めておく」「肉・魚・麺といった大まかな方向性だけ先に決める」といった、決断の数そのものを減らす工夫です。選択肢を絞ることで、迷う時間そのものをなくしてしまうという考え方です。

私たちが地球人倶楽部として長く続けてきた「おまかせ」という届け方も、根っこにある発想は同じです。旬の野菜や、その日入荷した新鮮な食材を、私たちの目利きで見繕ってお届けする。何を選ぶかという決断そのものを、あらかじめ引き受けてしまうという仕組みです。

「決めない」ことは、手を抜くことではない

誤解されやすいのですが、献立を「決めない」ことは、食事の質を下げることではありません。むしろ、何を選ぶかという判断の労力を手放すことで、料理そのものや、食卓を囲む時間に、気持ちを向けられるようになる――そういう考え方です。

1988年の創業から37年、私たちは「安心して、選ばずに任せられる」関係を、生産者の方々と築いてきました。献立に迷う夕方の数分を、少しでも軽くするお手伝いができればと思っています。

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情報源:
・「決断疲れ(decision fatigue)」は、社会心理学者ロイ・バウマイスター氏らの自我消耗(ego depletion)研究を起点に広く紹介されている概念です

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