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野菜の種は、どこから来るのか 固定種・在来種とF1種の違いを、正しく知る

COLUMN / たべものの話

野菜の種は、どこから来るのか
固定種・在来種とF1種の違いを、正しく知る

畑の話は、いつも一粒の種から始まる。

スーパーに並ぶ野菜の姿かたちが、どれもよく似ているのはなぜか。反対に、産地の直売所で見かける野菜が、ひとつずつ違う顔をしているのはなぜか。農林水産省の2019年8月の検討会資料には、流通しているほとんどの野菜類は交雑品種(F1品種)で、高品質で均質な収穫物が得られる、と説明されています。

「F1種は危険」「固定種でなければ本物ではない」——種をめぐっては、そんな言葉を目にすることがあります。ですが、実際のところはもう少し込み入っていて、そして、もう少し面白い話です。今日は、固定種・在来種・F1種の違いと、二〇二二年に変わった種のルールについて、事実に沿って整理してみます。

1F1種・固定種・在来種、何が違うのか

まず、言葉の整理から。F1種(一代交配種)は、異なる品種を掛け合わせて得られた雑種の第一世代です。同じ資料は、雑種強勢という現象により、その一代に限り、両親より優れ均一な性質を示すことが知られており、この仕組みを利用した品種をF1品種などと呼ぶ、と説明しています。ただし、そこから採った種(第二世代)は性質が不均一になり、通常の営農上、有意な再生産は不可能とされています(農林水産省)。

固定種は、農林水産省の資料では「固定品種」として、他の品種と交配しない限り、同じ性質の収穫物を何度も得ることができる品種と示されています。在来種は、同省が「地域の伝統品種」と説明しているもので、登録品種ではない「一般品種」に含まれます(農林水産省)。

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  F1種(一代交配種) 固定種・在来種
つくり方 異なる品種を掛け合わせて得られた雑種の第一世代。その一代に限り、両親より優れ均一な性質を示すことが知られている 固定種(資料では「固定品種」)。在来種は地域の伝統品種
翌年の種取り 第二世代は性質が不均一になり、通常の営農上、有意な再生産は不可能とされる 固定種は、他の品種と交配しない限り、同じ性質の収穫物を何度も得られる

出典:農林水産省 検討会資料(2019年8月、品種登録の考え方)、令和2年「種苗法に関するよくある質問」。固定種・在来種の収穫物のそろい方や、使われ方の傾向については、今回確認した公的資料に記載がありませんでした。

2「F1種は危険」は、本当なのか

ここは、事実に沿ってお伝えします。F1種は、異なる品種を掛け合わせる「交配」によって得られた品種です。消費者庁のウェブサイトに掲載されている資料は、農作物の品種改良について、突然変異を利用し、それらを掛け合わせることで進められてきたと説明し、組換えDNA技術(いわゆる遺伝子組換え技術)は別の項目で説明しています。F1であることを理由に、その野菜の健康への影響を述べた公的資料は、今回確認した範囲(農林水産省・消費者庁の資料)にはありませんでした。

在来種を含む一般品種は、誰でも自由に利用できます(農林水産省)。種のルールについて、次の節で整理します。

3種のルールは、二〇二二年に変わった

もうひとつ、知っておくと見通しがよくなる話があります。二〇二〇年に改正された種苗法です。農林水産省は、品種を大きく二つに分けて説明しています。

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区分 中身 自家増殖(種取り)
登録品種 新たに開発され、品種登録を受けている品種(育成者権がある) 二〇二二年四月一日以降、個人的・家庭的な利用を除き、育成者権者の許諾が必要
一般品種 在来種、これまで品種登録されたことがない品種、育成者権の存続期間が満了した品種 誰でも自由に利用できる

出典:農林水産省「種苗法に関する一般的なご質問」

令和2年の種苗法の改正にあたり、農林水産省は「よくある質問」で、自家増殖は一律禁止にはならないこと、自家増殖に許諾が必要になるのは登録品種のみであること、在来種(地域の伝統品種)を含む一般品種は許諾も許諾料も必要ないことを説明しています。在来種をはじめとする一般品種は、誰でも自由に利用できます。登録品種についても、収穫物の譲渡や販売を行わない自家消費目的の家庭菜園や趣味としての利用には影響がないと説明されています。一方、登録品種の種子を、近所に配るなど個人的・家庭的な利用とはいえない形で使う場合は、育成者権者の許諾なしでは育成者権の侵害に当たり得ます(農林水産省)。

種苗法は、令和8年にも改正されました(令和8年7月17日成立、7月24日公布)。農林水産省の概要によると、改正の内容は、育成者権の存続期間の延長(現行25年、永年性植物は30年を10年延長)、出願品種の輸出の差止め、種苗の輸出目的の保管の制限、損害賠償額の算定、種苗の貸渡しの追加などです。存続期間の延長などは公布の日から、そのほかは令和8年12月1日から施行されます。農林水産省の概要とQ&Aには、自家増殖の許諾や一般品種の扱いを変える項目は挙げられていません。この記事の表は、令和2年改正(令和4年4月1日施行)に関する農林水産省の説明に基づいています。最新の内容は、農林水産省の「種苗法の改正について」のページでご確認ください。

4在来種を含む一般品種のこと

農林水産省(消費者の部屋、令和5年更新)は、在来種を含む一般品種のメリットとして、流通業者や消費者に評価が定着していること、今までと同じ技術で栽培が可能であること、在来品種としての市場価値があること、などを挙げています。

野菜の大きさや形が、ふぞろいなことがあります。箱を開けたとき、大きさの違う人参が並んでいたら、そういう育ち方をしたのだと思っていただけたら嬉しく思います。

地球人倶楽部でのお取り扱いについて

地球人倶楽部は、1988年創業の会員制の食材宅配です。農産物は、農林水産省のガイドラインに沿った基準を満たしたものと当社の基準を満たしたものを扱っており、栽培方法は「有機JAS」「無」「特別栽培」「低」の4種類の表記で確認できます。

よくある質問

Q. F1種の野菜は、体に悪いのでしょうか?

A. F1種は、異なる品種を掛け合わせた交配によって得られた品種です。F1であることを理由にした健康への影響を述べた公的資料は、確認した範囲(農林水産省・消費者庁の資料)にはありませんでした。農林水産省の資料は、F1の種から採種しても性質が不均一になり、通常の営農上、有意な再生産は不可能と説明しています。

Q. 固定種と在来種は、どう違いますか?

A. 固定種は、他の品種と交配しない限り、同じ性質の収穫物を何度も得ることができる品種として、農林水産省の資料に示されています。在来種は、同省が「地域の伝統品種」と説明しているもので、登録品種ではない一般品種に含まれます。

Q. 種苗法が変わって、種取りはできなくなったのですか?

A. 許諾が必要になったのは登録品種です。農林水産省によれば、二〇二二年四月一日以降、登録品種の種苗を生産する行為には、個人的・家庭的な利用を除き育成者権者の許諾が必要になりました。一方、在来種やこれまで品種登録されたことがない品種などの一般品種は、これまでどおり誰でも自由に利用できます。

参考にした資料

・農林水産省「種苗法に関する一般的なご質問」
・農林水産省「令和2年種苗法に関するよくある質問」
・農林水産省 第4回「優良品種の持続的な利用を可能とする植物新品種の保護に関する検討会」(2019年8月2日)資料5「品種登録の考え方について」
・農林水産省 消費者の部屋「登録品種でない野菜の自家増殖は種苗法に抵触しますか。」(令和5年更新)
・農林水産省「種苗法の改正について」、「令和8年度種苗法改正に関するQ&A」
・消費者庁サイト掲載「ゲノム編集技術応用食品を適切に理解するための6つのポイント」
(2026年10月5日に内容を見直しました)

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※本記事は、品種と種苗制度に関する一般的な情報を紹介するものです。制度の詳細や最新の運用については、農林水産省の公表資料をご確認ください。

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