オーラルフレイルとは何か 噛む力の低下とシニアの食べやすさの整え方
COLUMN / からだのはなし
オーラルフレイルとは何か
「噛みにくい」から始まる、食べやすさの整え方
「最近、硬いものが噛みにくい」「お茶や汁物でむせることが増えた」——そんな変化に心当たりはありませんか。加齢のせいと見過ごされがちなこの状態は、近年「オーラルフレイル」と呼ばれ、そのまま進むと食べる量や栄養状態にまで影響しうるとされています。
オーラルフレイルは、ある日突然あらわれる症状ではありません。今日は、その入り口にあるサインの見つけ方と、噛む力を保つための毎日の工夫、そして食べやすさを高める食卓の整え方について、公的機関の情報をもとに整理してみます。
1オーラルフレイルとは何か。見逃されやすい理由
公益財団法人長寿科学振興財団の解説によれば、オーラルフレイルとはわずかなむせや食べこぼし、滑舌の低下といった口腔機能のわずかな衰えから、食べる機能の低下、さらには心身の機能の低下にまでつながっていく状態を指すとされています。むし歯や歯周病のように痛みとしてはっきり現れないため、本人にも周囲にも気づかれにくいという特徴があります。
判定の目安となる指標には、「半年前と比べて硬いものが食べにくくなった」「お茶や汁物でむせやすくなった」「滑舌が低下した」といった項目が含まれ、複数の指標に該当するとオーラルフレイルの可能性があるとされています。特別な症状としてではなく、「以前と比べてどうか」という変化に目を向けることが、早期に気づく手がかりになります。
2噛む力を支えているのは、歯の本数
噛む力を土台から支えているのは、自分の歯がどれだけ残っているかです。日本歯科医師会が公表した令和四年度歯科疾患実態調査によれば、八十歳で二十本以上の自分の歯が残っている「8020(ハチマルニイマル)」達成者の割合は51.6%で、前回調査からわずかに増え、二人に一人を上回る水準まで進んでいます。
歯を失う主な原因は、むし歯や歯周病だとされています。裏を返せば、日々の口腔ケアと定期的な歯科受診の積み重ねが、将来の「噛む力」を左右するということでもあります。噛み合わせや入れ歯の具合に違和感があるときも、そのままにせず歯科で確認してもらうことが、遠回りに見えて一番の近道です。
3毎日の食事でできる、噛む力を保つ工夫
ひとつめは、一口の量を少なめにし、意識してよく噛むこと。早食いは、噛む回数そのものを減らしてしまいます。ひと口ごとに箸を置く、飲み込んでから次を口に運ぶ、といった小さな心がけが積み重なります。
ふたつめは、噛み応えのある食材を、無理のない範囲で献立に加えること。根菜やきのこ類は、火を通してもある程度の噛み応えが残りやすく、噛む筋肉を使う機会になります。左右どちらか一方だけで噛む癖がある場合は、意識して両側を使うようにするとよいでしょう。
みっつめは、噛み合わせや入れ歯の違和感を放置しないこと。「そのうち慣れる」と我慢せず、早めに歯科で調整してもらうことが、結果として噛む力を保つことにつながります。会話や外出など、日常的に口を動かす機会を保つことも助けになるとされています。
なお、硬いものが食べにくい状態やむせが続く場合は、自己判断で我慢せず、歯科・医療機関にご相談ください。
4噛みにくいときの、食べやすさを高める工夫
噛む力や飲み込む力が低下してきた場合の目安として、農林水産省は「スマイルケア食」という枠組みを整備しています。状態に応じて三段階のマークで食品を選べるようにしたものです。
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| 分類 | 対象となる方 | 基準の目安 |
|---|---|---|
| 青マーク | 栄養補給が必要だが、噛む・飲み込むことに問題のない方 | エネルギーやたんぱく質など一定の基準を満たす食品 |
| 黄マーク | 噛む力が低下している方 | 日本農林規格(JAS)の基準に適合した咀嚼配慮食品 |
| 赤マーク | 飲み込む力が低下している方 | 嚥下困難者用食品として許可を受けた特別用途食品 |
出典:農林水産省「スマイルケア食(新しい介護食品)」
家庭の食卓では、こうした専用の食品に頼らずとも、食材を小さめに切る、時間をかけてやわらかく煮る、とろみをつけるといった工夫だけで食べやすさは変わります。だしのうまみを効かせれば、やわらかく仕上げても物足りなさを感じにくくなります。
地球人倶楽部でのお取り扱いについて
地球人倶楽部では、産地から届く有機野菜や平飼い卵、無添加の調味料をお取り扱いしています。根菜やきのこ類、卵料理は、火を通すほどにやわらかく仕上げやすく、無添加の調味料でだしのうまみを効かせれば、薄味でも満足感のある一皿に仕上げやすい食材です。噛む力に不安がある方の献立づくりにも、日々の食材選びから取り入れていただけます。
よくある質問
Q. オーラルフレイルとは何ですか?
A. 公益財団法人長寿科学振興財団によれば、わずかなむせや食べこぼし、滑舌の低下といった口腔機能の衰えから、食べる機能、さらには心身の機能の低下にまでつながっていく状態を指すとされています。硬いものが食べにくい、お茶や汁物でむせやすいといった変化が、初期のサインとして挙げられています。
Q. 噛む力が落ちてきたと感じたら、食事はどう工夫すればよいですか?
A. 一口の量を少なめにしてよく噛むこと、噛み応えのある食材を無理のない範囲で取り入れることに加え、噛みにくさが強い場合は食材を小さく切る、やわらかく煮る、とろみをつけるといった調理の工夫も助けになります。農林水産省の「スマイルケア食」を目安に選ぶ方法もあります。
Q. 家族の噛む力が心配です。何から確認すればよいですか?
A. まずは半年前と比べて硬いものが食べにくくなっていないか、お茶や汁物でむせることが増えていないかを確認してみてください。入れ歯や噛み合わせに違和感がある場合は、我慢せず歯科を受診することをおすすめします。
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※本記事は、噛む力や食べやすさに関する一般的な情報を紹介するものであり、特定の疾病の予防・治療、その他医薬品的な効果効能を標榜するものではありません。硬いものが食べにくい、むせることが増えたといった状態が続く場合は、歯科・医療機関にご相談ください。