天然酵母パンと市販パンの違いとは?発酵という時間の価値
COLUMN / たべものの話
天然酵母パンと市販パンの違いとは?
発酵という時間の価値
市販パンに並ぶイーストフードや乳化剤と、酵母と小麦と塩と水だけでつくられた天然酵母パン。発酵という時間の力がもたらす味の違いと、素材を知って選ぶことの意味を整理します。
コンビニやスーパーで手軽に買えるパンのラベルには、小麦粉・砂糖・バターといった基本材料のほかに、イーストフード、乳化剤、酸化防止剤、香料、pH調整剤——これだけの名前が並んでいることが珍しくありません。
これらは製造効率を上げ、品質を安定させ、日持ちをよくするために加えられるものです。食品安全上の問題はないとされていますが、本来のパンづくりに必要なものではありません。天然酵母と小麦と塩と水だけでつくられたパンが存在する以上、毎朝からだに届けるものとしてどちらを選ぶかは、問いに値します。
1天然酵母とは何か——微生物の多様性が風味を生む
天然酵母とは、果実、穀物、野菜、空気中など、自然界に存在する酵母菌を培養したものです。りんご酵母、ぶどう酵母、ホップ酵母、小麦粉から起こしたサワードウスターター——それぞれの素材に由来する酵母は、異なる風味の個性を持ちます。
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| 天然酵母 | インスタントイースト | |
|---|---|---|
| 中身 | 複数の酵母菌と乳酸菌が共存する | サッカロミセス・セレビシエの単一菌株を純粋培養 |
| 発酵 | 時間がかかる。仕上がりに幅が出る | 発酵力が強く、均一で予測しやすい |
| 風味 | 複雑な甘みと、やや酸味のある奥行き | 単一菌株のため単調になりやすい |
| 向く場面 | 手仕事のパン | 大量生産 |
発酵に時間がかかる分、小麦のでんぷんと酵素がゆっくり反応し、糖と旨み成分が引き出されます。噛むほどに広がる複雑な甘みは、そうしてできたものです。
2市販パンの添加物——それぞれの役割
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| 名称 | 何のために使われるか |
|---|---|
| イーストフード | イーストの発酵を安定させる窒素源・ミネラル源。塩化アンモニウム、リン酸カルシウムなどの化合物が含まれる |
| 乳化剤 | 生地の水と油を均一に混ぜ、食感をやわらかく保つ |
| 酸化防止剤 | 品質の劣化を抑える |
| pH調整剤 | 日持ちをよくする |
| 香料 | 香りを補う |
いずれも「おいしくするため」というより、同じものを、速く、たくさん、長く保たせるためのものです。そこが、時間をかけて発酵させるパンとの分かれ目になります。
3長時間発酵が、もたらすもの
天然酵母パンの特徴のひとつは、長時間発酵です。小麦に含まれるフィチン酸は、発酵の過程でフィターゼという酵素の働きによって分解されることが知られています。フィチン酸はミネラル(鉄・亜鉛・カルシウムなど)と結びつく性質を持つ物質で、この分解については研究がさまざまに報告されています。
また、乳酸菌の発酵によって生じる有機酸(乳酸・酢酸)が、パンの風味に深みを与えます。サワードウブレッドについては、長時間発酵によるでんぷん構造の変化に着目した研究も報告されており、発酵という営みの奥深さを物語っています。
4グルテンと、天然酵母パン
近年、小麦との付き合い方への関心が高まっています。長時間発酵の天然酵母パンでは、グルテンが発酵過程で部分的に分解されることが知られており、これに関心を寄せる声もあります。ただし、小麦アレルギーやセリアック病のある方には当てはまりません。体質に不安のある方は、医療機関にご相談ください。
地球人倶楽部でのお取り扱いについて
地球人倶楽部では、発酵という営みを信じた作り手の天然酵母パンをお取り扱いしています。毎朝食べるパンは、一日のはじまりに直結するものです。添加物に頼らず、発酵の時間だけで仕上げられた一枚が届く朝の食卓は、食材の質が暮らしに作用する小さな実感の積み重ねだと考えています。
よくある質問
Q. 天然酵母パンと市販パンは、どこが違うのですか?
A. 天然酵母は複数の酵母菌と乳酸菌が共存しており、時間をかけて発酵させることで複雑な風味が生まれます。一方、市販パンの多くは単一菌株のインスタントイーストを使い、あわせてイーストフードや乳化剤などで発酵の安定と日持ちを補っています。
Q. 市販パンの添加物は、危険なのですか?
A. 食品安全上の問題はないとされています。ただしこれらは、おいしさのためというより、同じものを速く大量につくり、長く保たせるために使われるものです。本来のパンづくりに必要な材料ではない、という整理が実態に近いでしょう。
Q. 長時間発酵させると、何が変わりますか?
A. 小麦のでんぷんと酵素がゆっくり反応し、糖と旨み成分が引き出されます。また、小麦に含まれるフィチン酸が発酵過程でフィターゼの働きにより分解されることが知られており、この点についてはさまざまな研究が報告されています。
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※本記事は、食品表示と製法に関する一般的な情報を紹介するものであり、特定の疾病の予防・治療・改善その他医薬品的な効果効能を示すものではありません。小麦アレルギーやセリアック病など体質に不安のある方は、医療機関にご相談ください。