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岬の先端の砂礫土が、このとうもろこしを甘くする。――あっぱれ天恵の話

COLUMN / 生産者のはなし

岬の先端の砂礫土が、このとうもろこしを甘くする。
――あっぱれ天恵の話

太陽いっぱい、潮風かおる岬の恵み。愛知県田原市・あっぱれ天恵のとうもろこしの話です。

三河湾と太平洋、ふたつの海に挟まれた渥美半島の先端。強い日差しと海風、砂利混じりの土が広がる場所。愛知県田原市で農園を営む「あっぱれ天恵」のとうもろこしは、その場所でしか育たない味を持っています。代表の杉浦生剛さんが、化学農薬・化学肥料不使用の特別栽培で育てる露地野菜の話をします。

夏になれば、スーパーの野菜コーナーにとうもろこしが並びます。皮をむかれてラップに包まれ、産地と値段だけが書いてある。誰が育てたかは書いていません。あっぱれ天恵のとうもろこしは、その対極にあります。農園のInstagramには「有機許容農薬、資材・化成肥料不使用」とあり、「完全無農薬」という言葉を使わず実態を正直に伝える表記を選んでいます。その誠実さが、農園の性格を物語っています。

1この土地の、この砂が、甘さを作る

渥美半島・田原市の土壌は砂礫質で、水はけがとびきりよいのが特徴です。農地として耕すためにトラクターを走らせると刃が削れるほど石が多く、農家にとっては手のかかる土だといいます。水はけがよいということは、肥料も流れやすいということでもあります。しかしこの「厳しさ」が、とうもろこしの味に深く関わっています。水分や栄養が潤沢に手に入らない環境では、植物は生き延びようとして根を深く張り、光合成で作った糖分を粒に蓄えます。土が豊かすぎず、水も流れやすい——そうした「ほどよいストレス」が、甘みの濃さにつながるといわれています。さらに渥美半島は愛知県最南端に位置し、三方を海に囲まれた温暖な気候で、年間を通じて日照時間が長い地域です。太陽が長く当たるほど光合成が促され、とうもろこしの粒に糖分が積み上がります。砂礫の土、豊富な日照、海から吹き込む風——この三つが揃う場所だから、このとうもろこしが生まれます。

2「おいしく食べられる窓」は、3日しかない

とうもろこしを語るとき、避けて通れないのが鮮度の話です。とうもろこしは収穫した瞬間から、粒の中の糖分がデンプンへと変化し始めます。つまり、時間が経てば経つほど甘みが薄れ、粉っぽくなっていきます。農家の間では「収穫適期は3日」といわれています。早く採りすぎると糖分が十分に蓄積されておらず、適期を過ぎると糖分がデンプンに変わり粒がしぼんでしまう。1日で状態が変わることもあり、その3日の窓を、農家は毎朝ひとつひとつ畑で見極めています。スーパーに並ぶとうもろこしが「甘みが薄い」「粉っぽい」と感じるとき、品種の問題よりも時間の問題であることが多いといえます。収穫から流通・店頭に並ぶまでの時間は、どうしてもかかるためです。

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項目 ホワイト イエロー
特徴 白粒品種。糖度が高く生食向き 旨みとコクが強い定番種
栽培の手間 他品種の花粉混入を防ぐため隔離栽培が必要 比較的広く栽培されている
おすすめの食べ方 採れたてを生のまま バター炒め、炊き込みご飯

出典:あっぱれ天恵への取材にもとづく(品種特性は生産者による説明)

3台風で畑が水没した年のこと

農業とは、自然と向き合い続ける仕事です。ある年の6月初旬、台風に伴う梅雨前線の活発化で愛知県内に線状降水帯が発生し、杉浦さんの畑は水没しました。渥美半島の砂礫土は本来水はけが良く、それが自慢の土壌でもあるのに、排水が追いつかないほどの雨量でした。出荷を控えていたとうもろこしが根腐れし、一部の畑は全滅。就農20年以上の杉浦さんにとっても、先代の記憶にも残らない規模の雨だったといいます。その後、杉浦さんは残った畑を丁寧に選別しながら出荷を続けました。水没した畑とそうでない畑を見極め、何とかシーズンを乗り切った。そういう年もあります。とうもろこしが1本届くことの重みを、この話は静かに教えてくれます。

4戦後の開拓から始まった、この農地

渥美半島は戦後、多くの開拓農家が全国から入植した土地です。当時は何も育たない荒れ地だったと伝わっています。それを地域の農家たちが何年もかけて耕し、土を作り、農地に変えました。あっぱれ天恵の農園もその積み重ねの上にあります。杉浦さんが化学農薬・化学肥料を使わない特別栽培を続けているのは、先人たちが苦労して作り上げた土を次の世代に渡したいという気持ちとも重なっているように見えます。

あっぱれ天恵ならではの品物がもうひとつあります。とうもろこしは1株に複数の穂が付きますが、大きく育てる穂を選ぶために小さな穂を間引きます。これが「かき穂」であり、ヤングコーン(ベビーコーン)です。あっぱれ天恵ではこれを「天ぷらにすると絶品」として出荷しています。丸ごと天ぷらにすると、とうもろこし特有の甘みと香ばしさが凝縮されます。ひげと薄皮ごと食べられるのも、収穫してすぐに届く産地直送ならではです。保存の目安は、届いたらその日のうちに調理すること。すぐに食べない場合は皮つきのまま立てて冷蔵庫に入れ、2〜3日以内が目安です。茹でるときは水から入れて、沸騰してから塩を加えると、芯まで均一に火が通り甘みが引き出されます。

地球人倶楽部でのお取り扱いについて
収穫適期はわずか3日。その甘みを逃さずお届けできるのは、産地と直接つながる流通があるからこそです。あっぱれ天恵のとうもろこしをはじめ、作り手の顔が見える旬の食材を、地球人倶楽部でお取り扱いしています。旬は5月下旬から7月です。

よくある質問

Q. あっぱれ天恵のとうもろこしは、いつが旬ですか?

旬は5月下旬から7月です。渥美半島は日照時間が長く温暖な気候のため、この時期に糖度の高いとうもろこしが育ちます。

Q. ホワイトとイエロー、どちらを選べばいいですか?

ホワイトは糖度が高く、採れたてなら生でも食べられる甘さが特徴です。イエローは旨みとコクが強く、バター炒めや炊き込みご飯など加熱調理に向いています。食べ比べて好みを見つけるのもおすすめです。

Q. 届いたら、どう保存すればいいですか?

とうもろこしは収穫した瞬間から糖分がデンプンに変わり始めるため、届いたその日のうちに調理するのがおすすめです。すぐに食べない場合は、皮つきのまま立てて冷蔵庫に入れ、2〜3日以内を目安にお召し上がりください。

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本記事は生産者・あっぱれ天恵への取材および公表情報をもとに構成した読み物です。栽培状況・収穫時期・お届け内容は天候や生育状況により変動することがあります。

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