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旅と養生 VOL. 23 — TURKEY

遊牧民が運んだ発酵が、
世界の朝食を変えた

トルコ、白いヨーグルトと乳製品が並ぶ食卓
白いヨーグルトが並ぶ食卓(イメージ)

「ヨーグルト」という言葉は、もともとトルコ語の「yoğurmak(こねる、凝固させる)」という動詞から生まれた。1070年代に編まれたテュルク語の辞典には、すでにこの言葉が記録されている。

中央アジアの遊牧民たちは、家畜を追いながら暮らす中で、乳を発酵させて保存性を高める術を身につけていった。乳をそのまま置いておけば傷むが、発酵させれば日持ちがし、しかも消化しやすくなる。移動を続ける暮らしの中で生まれた、理にかなった知恵だったのだろう。

その文化がアナトリアの地に根づき、トルコ独自のヨーグルト文化として花開いた。中でも「スュズメ・ヨウルト」と呼ばれる水切りヨーグルトは、布で漉して水分(乳清)を取り除き、タンパク質を凝縮させた濃厚な一品として親しまれている。

布で水を切る伝統的なヨーグルトの製法
布で水切りをする伝統的な製法(イメージ)

この東方の発酵乳が世界に知られるきっかけを作ったのは、1907年、パスツール研究所の研究者イリヤ・メチニコフだった。ブルガリアの人々の長寿と乳酸菌の関係に着目した彼の研究は、大きな反響を呼んだ。

この研究に触発された一人が、テッサロニキ出身のイサク・カラソだった。パスツール研究所ゆかりの乳酸菌を使い、1919年、息子の愛称にちなんで「ダノン」を創業する。当初は薬局で、健康のための一品として売られていたという。遊牧民の知恵が海を渡り、世界的な食品ブランドの原点になったのである。

移動する暮らしが、発酵の知恵を育てた

1070年代 「ヨーグルト」の語が、テュルク語辞典に記録された最古の時期
1919年 メチニコフの研究に触発されたイサク・カラソが、ダノン社を創業した年

出典:Dīwān Lughāt al-Turk(11世紀)、Danone公式沿革ページほか。

今日、世界中の朝食の定番になったヨーグルト。その源流をたどっていくと、中央アジアの草原を移動しながら暮らした人々の、名もなき工夫にたどり着く。読者のみなさんの食卓のヨーグルトにも、そんな長い旅の記憶が宿っているのかもしれない。

移動の暮らしが、発酵の知恵を運んだ

遊牧民の知恵が世界の朝食を変えたトルコの物語。地球人倶楽部も、発酵という昔ながらの知恵を大切にした食品をお届けしています。

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※本ページでご紹介した統計は、各出典(本文中に記載)の公表時点のものです。

※本ページの内容は食文化・食養生に関する一般的な話題のご紹介であり、特定の効果効能を示すものではありません。

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