一つの実家に、
四千の顔がある
世界中で当たり前に食べられているじゃがいも。だが、その原産地であるアンデスの国ペルーでは、「じゃがいも」という一つの単語ではとてもくくれないほどの多様な顔を持っている。
国際じゃがいもセンター(CIP、本部リマ)は、1971年にペルー政府の政令によって設立された研究機関だ。じゃがいも・サツマイモ・アンデスの根菜作物の種を守る、世界最大級の遺伝資源バンクを保有している。
そのバンクには、4,700種の在来アンデス系じゃがいもと、2,400種の野生種が保存されている。国全体で見ると、在来品種は3,000種から4,000種にのぼるという推計もある。
なぜこれほど多様なのか。答えは、アンデスの地形そのものにある。谷ごとに気候・土壌・高度が異なり、農家たちは何千年もかけて、それぞれの土地に合う品種を選び、育て、名前をつけてきた。多様性は偶然の産物ではなく、環境に適応するために積み重ねられた知恵の結果だった。
この種の保存は、単なる記録のためのものではない。凍害に強い野生種の血を引く新品種の開発など、これからの気候変動に備えるための実用的な資源としても活用されている。
一つの野菜の中に、四千の多様性が眠っている
出典:International Potato Center (CIP) 公式サイト「Native Potato Varieties」「Native Varieties」。
一つの野菜が、こんなに多くの顔を持てるという事実は、多様であることそのものが、一種の豊かさであり、備えでもあるということを教えてくれる。
読者のみなさんが普段選んでいる食材にも、実は目に見えないところで多様な品種が守られているものがあるかもしれない。じゃがいもという身近な野菜の奥行きを知ると、次に手に取るときの見え方も少し変わってくるはずだ。
ペルーが守り続けてきた、じゃがいもの途方もない多様性。地球人倶楽部が届けたい、単一の品種に頼らない豊かな食のあり方にも重なるところがあります。
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