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暮らし|Vol.37 KARADA NO HANASHI COLUMN

香りを“聞く”という文化は、
漂着した一本の流木から始まった

香炉と香木
01

始まりは、一本の流木だった

茶道・華道と並ぶ日本の三大芸道のひとつ、香道。その始まりは、淡路島に流れ着いた一本の木という、意外なところにある。

日本に初めて香木が記録されたのは推古3年(595年)。淡路島に漂着した流木が朝廷に献上され、これが東南アジア産の沈香だったと伝えられている。海を渡ってきた一本の木が、日本の香り文化の出発点になった。

02

貴族が、部屋や衣に焚きしめた

8世紀頃からは、香木の粉末と各種の香料を混ぜ合わせた「練香」を部屋や衣類に焚きしめることが、貴族の間で行われるようになった。香りは単なる匂い消しではなく、身にまとう教養であり、たしなみでもあったのだろう。

香りは“嗅ぐ”ものではなく、“聞く”ものだった。
03

16世紀、「香道」という様式美が生まれた

16世紀になると、決まった作法にのっとって香を焚き、その香りを鑑賞する「香道」が確立する。日本語では、香りを“嗅ぐ”とは言わず、“聞く”と表現する独特の感性がここにある。最も高級な香木は「伽羅」と呼ばれ、ジンチョウゲ科の樹木が傷ついた際に自ら分泌した樹脂が、長い年月をかけて凝固し、芳香物質へと姿を変えたものだ。一本の流木から始まった文化は、こうして日本独自の様式美へと育っていった。

香文化の歴史を、数字で辿る

595年 淡路島に香木(沈香)が漂着し、朝廷に献上されたとされる年
16世紀 決まった作法で香を鑑賞する「香道」が確立した時期

出典:香老舗松栄堂「お香の歴史」、お香の会「香道の歴史」ほか。

EDITOR'S NOTE

香りを“聞く”という表現に、日本人の繊細な感性が表れている気がします。一本の流木から始まった文化が、今も静かに受け継がれていることに、ロマンを感じます。

※本ページの内容は、日々の暮らしの工夫と一般的な考え方をご紹介するものであり、特定の効果効能を示すものではありません。

※体調に不安がある場合や、症状が続く場合は、医療機関にご相談ください。

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