栄養|Vol.35
KARADA NO HANASHI COLUMN
オメガ3は、イヌイットの
オメガ3は、イヌイットの
“矛盾”から見つかった栄養素だった
01
「矛盾」から始まった、発見の物語
魚を食べると体にいい、とよく言われる。この常識の土台になったオメガ3脂肪酸の研究は、ある“矛盾”した観察から始まった。
1971年、デンマークのダイアベルグとバングという研究者が、デンマーク領グリーンランドに住むイヌイット(エスキモー)の疫学調査結果を報告した。イヌイットは出血傾向が高い一方で、心筋梗塞による死亡が明らかに少なかったのだ。
02アザラシの脂肪が、答えだった
この矛盾を解いたのが、彼らの食生活だった。イヌイットはアザラシなど脂肪の多い動物をよく食べており、その脂肪に豊富に含まれるEPAを、体内に大量に取り込んでいたことが分かった。1972年に発表されたこの研究結果は、「脂肪の多い食事をしているのに心臓病が少ない」という発見として注目を集めた。
常識を覆す発見は、いつも一つの“矛盾”から始まる。03
この発見が、今の食卓につながっている
この研究をきっかけに、オメガ3脂肪酸、特にEPAとDHAの健康効果に関する研究が世界中で進んでいった。「魚を食べよう」という今の食生活の指針の裏には、遠い北極圏の人々の暮らしを丹念に観察した、一つの研究があったことになる。
オメガ3脂肪酸の発見を、数字で辿る
1971年
グリーンランド・イヌイットの疫学調査結果が最初に報告された年
1972年
イヌイットの心臓病発生率の低さが発表され、注目を集めた年
出典:からだ健康サイエンス「ω3系多価不飽和脂肪酸」、37chiropratica「イヌイットに学ぶ」ほか。
EDITOR'S NOTE
遠い北極圏の暮らしを観察した研究が、今日の私たちの食卓の“魚を食べよう”につながっている。科学の発見というのは、思わぬところから生まれるものだと感じます。
※本ページの内容は、日々の暮らしの工夫と一般的な考え方をご紹介するものであり、特定の効果効能を示すものではありません。
※体調に不安がある場合や、症状が続く場合は、医療機関にご相談ください。