食文化|Vol.32
KARADA NO HANASHI COLUMN
蕎麦は、飢饉を救うために
蕎麦は、飢饉を救うために
選ばれた作物だった
01
手打ちの蕎麦(イメージ)
03
蕎麦は、縄文時代から日本にあった
今では麺として親しまれている蕎麦。しかし日本で蕎麦が栽培されていた歴史は、縄文時代にまでさかのぼるという、驚くほど古いものだ。
日本での蕎麦の栽培は、約9300年前の縄文時代からと言われている。高知県の遺跡の地層から見つかった花粉の様子から推測されたもので、さいたま市の遺跡でも約3000年前の蕎麦の種子が見つかっている。
02「飢饉に備える作物」として広まった
蕎麦が歴史的な文献に初めて登場するのは、797年完成の史書「続日本紀」。奈良時代の元正天皇が「夏の雨が少なく田んぼの作物が育たないので、小麦や蕎麦を栽培し蓄えよ」と詔を出した記録が残っている。平安〜中世には、栽培期間が短く寒冷地や痩せた土地でも育つ性質から、救荒作物として信州・東北・山陰などで主食化していった。
「蕎麦切り」が、町人文化の象徴になった
蕎麦が今のような麺の形「蕎麦切り」になったのは、江戸時代の少し前から。この登場によって、蕎麦は単なる非常食から一転、江戸の町人文化を象徴する食べものへと姿を変えていった。飢饉を生き延びるための作物が、粋な食文化の主役になるまでの道のりは、なかなかドラマチックだ。
蕎麦の歴史を、数字で辿る
約9300年前
日本で蕎麦が栽培され始めたとされる、縄文時代の時期
797年
蕎麦が歴史的文献「続日本紀」に初めて登場した年
出典:高山製粉「蕎麦の歴史」、そば処さらしな「蕎麦の歴史を完全解説」ほか。
EDITOR'S NOTE
飢饉から人々を救うために選ばれた作物が、今では“粋”の象徴として愛されている。一杯の蕎麦の向こうに、そんな長い旅路があると思うと、味わい方も変わってきます。
※本ページの内容は、日々の暮らしの工夫と一般的な考え方をご紹介するものであり、特定の効果効能を示すものではありません。
※体調に不安がある場合や、症状が続く場合は、医療機関にご相談ください。