コラム
雪に一度、潰されてから育つ野菜。新潟の冬菜(とうな)という文化
COLUMN / 野菜のはなし
雪に一度、潰されてから育つ野菜。
新潟の冬菜(とうな)という文化
「冬菜(とうな)」という野菜をご存じでしょうか。新潟県の豪雪地帯に伝わる、冬にしか出会えない菜っ葉です。名前だけを聞くと、ただの季節野菜に思えるかもしれません。ですが調べていくと、そこには雪国ならではの栽培の知恵と、各家庭が種をつないできた小さな農業史が眠っていました。
冬菜は、またの名を女池菜(めいけな)とも呼ばれます。新潟の中でも、作る地域によって呼び名も味わいも少しずつ異なるのだそうです。厳密な統一基準を持つ「有機JAS」のような認証野菜ではありません。もっと土地に根ざした、暮らしの野菜です。
1冬菜の正体は、小松菜の仲間
冬菜は、小松菜と同じアブラナ科の野菜です。私たちが普段「冬菜」として食べているのは、春に花を咲かせるために伸びてくる茎の部分――いわゆる「とう」です。「とう」が立つ野菜だから「冬菜(とうな)」、という説もあります。
この「とう」の部分は、青臭さがほとんどなく、しゃきしゃきとした独特の歯ごたえがあります。そしてわずかなほろ苦さの奥から、じんわりとした甘みが広がる。これが冬菜の一番の個性です。
2一度、雪に潰されないと育たない
冬菜の栽培は、豪雪地帯ならではの手順を踏みます。秋に種をまき、初雪が降ると、その雪の重みでいったん株が押しつぶされます。そこで終わりではありません。生産者はそこから再びトンネルを組み、以降の雪に押しつぶされないよう守りながら、真冬の間じっくりと育てていくのです。
効率だけを考えれば、雪の少ない土地で育てた方がずっと簡単でしょう。それでもこの土地で冬菜がつくられ続けてきたのは、雪に耐えさせることこそが、あの甘みを生む工程だからです。
植物は強い寒さにさらされると、細胞が凍って壊れるのを防ぐために、体内に糖分を蓄えて凍結への耐性を高めようとします。これは冬菜に限らず、雪下にんじんや雪下キャベツなど、雪国の冬野菜に共通して見られる仕組みです。冬菜の甘さは、まさに厳しい寒さを生き抜くための植物自身の工夫が生んだ味だといえます。
3種を、その家で継いでいくということ
冬菜のもうひとつの特徴は、自家採種です。自分の畑で育てた冬菜から種を採り、また翌年その種をまく。買った種を毎年まくのではなく、農業が本来そうであったように、種を家から家へ、世代から世代へと受け継いでいきます。
この積み重ねの結果、同じ「冬菜」という名前でも、育てる家によって味わいが微妙に異なるのだそうです。土地の気候だけでなく、その家の畑の個性、何代にもわたる選び方の癖までが、一皿の中に生きている。均一な規格が求められがちな現代の野菜のなかで、これは珍しい話だと感じます。
4冬菜の食べ方
冬菜の味を一番シンプルに楽しめるのは、おひたしです。
| 冬菜のおひたし | |
|---|---|
| 材料 | 冬菜1束/だし汁80cc/しょうゆ大さじ2/かつお削り節 |
| 作り方 | ①塩を加えた熱湯に茎から入れて茹で、冷水にとって色止めし、3cmほどに切る。②だしと醤油を合わせた割り下をかけ、削り節を天盛りにする。 |
シンプルな調理法だからこそ、冬菜そのものの甘みと歯ごたえがよく分かります。慣れてきたら、さっと油で炒めて塩だけで仕上げたり、お味噌汁の実にしたりといった食べ方も、小松菜や青菜と同じ感覚で試していただけます。
5今、地球人倶楽部で出会える冬菜
冬菜は、地球人倶楽部でも現在お取り扱いのある野菜です。ただし冬季限定。雪の下でじっくり育つ野菜である以上、これは仕方のないことでもあります。旬を逃さずお届けできるよう、入荷の時期が近づきましたら、あらためてお知らせできればと思います。
私たちが冬菜のような野菜を大切に扱う理由は、いつも同じです。効率だけでは説明のつかない、土地と生産者の手間を経てきた食材だからこそ、食卓に届ける価値があると考えています。地球人倶楽部の宅配では、こうした全国各地の伝統野菜やオーガニック食材を、3,000品以上の中から1個単位でお選びいただけます。
よくある質問
Q. 冬菜はいつ届けてもらえますか?
A. 冬菜は冬季限定の野菜で、通年でのお届けはできません。雪の下で育つという性質上、入荷できる時期が限られます。
Q. 冬菜と小松菜は同じ野菜ですか?
A. 同じアブラナ科の仲間ですが、別の野菜です。冬菜は新潟の豪雪地帯に伝わる伝統野菜で、雪の中で育てることで独特の甘みとほろ苦さが生まれます。
Q. 冬菜以外にも、こうした伝統野菜は届けてもらえますか?
A. はい。地球人倶楽部の宅配では、全国各地の生産者から届く伝統野菜やオーガニック食材を、3,000品以上の中から1個単位でお選びいただけます。
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監修者:地球人倶楽部 編集部