第6回 食について思うこと

2009年11月23日

食について考えることの中で、屋久島のタンカンの生産者の鶴田さ んのことをご紹介いたしました。会員の皆様には鶴田さんを応援しよ うとたくさんのお買い上げをいただき、ありがうございました。
鶴田さんも感謝とともに大変感激し、会員の皆様にくれぐれもよろし くお伝えいただきたいとのことでした。この機会に鶴田さんのタンカ ンづくり有機農業についての考え方などをあらためてご紹介して会員 の皆様のご理解と更なるご支援をお願いする次第です。

屋久島の鶴田さんのタンカンは、無農薬無化学肥料で育てられている のはご案内のとおりですが、品物を見ていただいてもお分かりのよう に黒てん病などもなく、表面もきれいです。その前にお届けしていた 沖縄宮古島のタンカンは、減農薬無化学肥料のものでしたが、表面が 黒く汚れていました。それと比べてみても鶴田さんのタンカンが無農 薬であるにもかかわらず、病気にもならずに収穫できたのは、タンカ ンの木が元気で健康であるとの証明です。味も大変良く、美味しかっ たと会員の皆様にもご評価いただきましたが、このように美味しくて 安全なタンカンは、どのようにして栽培されているのかについてお話 を進めてまいりたいと思います。

 鶴田さんの農業に対する基本的な考え方は、自分の都合や人間の都 合での農業をしないということです。 タンカンの木をよく観察して、今、タンカンの木が(植物として)ど のような状態にあり、何を望んでいるのか、何を欲しているのか、木 のリズムはいいのか悪いのか...、木と様々な会話をしながら農業をやっ ているのです。有機農業も自分の都合でやっている人は、今年は有機 肥料を畑に何トン投入したというような話になって、そのような生産 者の方も多いのですが、鶴田さんはいっぺんに畑に何トンも有機肥料 を入れるというようなことはせず、木の状態をみながらこまめにこま めに何回にも分けて肥料を与えています。

その分だけ手間もかかり大変ですが、そこがどちらの都合からかの考 え方の違いになります。結果的に鶴田さんの有機肥料は、他の生産者 の半分という少ない量で育てられ、健康で元気な美味しいタンカンが 収穫されているのです。タンカンの木を甘やかさず、面倒を見すぎず、 植物としての本来持つ生命力、病害虫に対する抵抗力をつけさせてい く。何年も何年ものそのような努力が実を結んでいるといえます。
 有機農業の生産者の土壌分析をして、その分析結果をみて、私たち は30 点とかこれはまだ50 点とか評価をしていますが、点数の低い生 産者の土壌は、栄養過多、例えば窒素過剰の状態にあることがよくわ かります。そのような土壌は有機農業といえども、美味しい農産物に はなりません。健康で元気であるとはいえない農産物であるからです。
 地球人倶楽部が目指している有機農業は、鶴田さんのような自然の 中で自然の力を借りてやる有機農業です。美味しくて、健康で元気。
栄養価も高く安全な食べ物。それが本当の食べ物であり、食べ物の本 質であると考えるからです。

最初にありきは、有機農業ではなく、植物を生命あるものとして認め、 どのような環境のもとで育ててやることが一番喜ぶことなのかを考え てあげる。それが本当の有機農業というものなのではないでしょうか。
適地適作が農産物にとっても最高の環境です。気候風土や農産物が旬 の時期に栽培することなどの条件を整えることこそ有機農業でなけれ ばならないと思うのです。
12週(3/17 ~ 3/21)にお届けする、紫と黄色のニンジンは、熊本の 真弓さんをはじめとする生産者グループのものですが、以上お話をし てきましたような考え方に基づいて栽培された物です。少し生でかじっ ていただければ、その美味しさがよくわかります。口の中に広がる甘 さが本物の有機農産物の証明です。4月に入ってからの新ニンジンと もども食していただければ幸いです。

 地球人倶楽部は20周年。その歩みは亀のように遅く、昆虫のよう に小さい倶楽部ではありますが、私たちを支えていただく会員の皆様 のため、少しでも役に立てることを考え、素晴らしい生産者を支援し、 育ててまいりたいと考えています。

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