第1回 食について思うこと

2009年11月23日

地球人倶楽部を1988 年にスタートして、早20 年を数えることと なりました。
戦後の高度成長期を経て、バブル、そしてバブルの崩壊のはじまりが、 地球人倶楽部のはじまりの年でした。
地球の環境、有機農業、そしてこれからもっと危惧される食の安全 を守るため、自分たちのやれることをやっていきたいと考えたので す。
そして20 年が過ぎ、今、地球も農業も食の安全も私たちが予測して いたような事態になってしまいました。
評論家や識者は、何か問題が起こるごとに自給率を上げなければな らないとか、地産池消農業をやる人を育てるとか色々なことをいい ますが、薄っぺらな発言で、本質はわかっていません。
1960 年に1450 万人いた農業従事者は、2007 年現在、311 万人です。
2025 年には約180 万人になるだろうと予測されています。そしてこ の311 万人のうち、60 才以上が約70%なのです。この国では、今、 農業をやる人が激減しています。どうやって自給率を上げるという のでしょうか。上げるどころか、下がる一方なのです。
 日本の米農家の平均的な時給は、256 円です。地球人倶楽部の生 産者である屋久島のタンカンを作っている鶴田さんは、夫婦で年収 300 万円です。有機肥料代100 万円、その他資材等にかかる費用を引 けば、手取り150 万~ 160 万円です。無農薬でタンカンを育てるため、 1 つ1 つに袋をかけて丹精こめて働いてのことです。
もちろん生活をしていかなければならないので、大工仕事の手伝い をして収入を得て頑張っています。何とか農業だけで生活できるよ うにしたい。収穫量を増やすので地球人さんよろしくおねがいしま す、ということでもちろん私たちも応援しているわけなのですが、 日本の農業の現状は、このようなものなのです。

 自給論の本質は、食べる側と作る側の相互関係、協力関係だと私 は思います。
自分たちの食べものを作ってくれる人たちを、食べる側の人々が守 り育てていく。自分たちの作ったものを買っていただける人々のた めに、一生懸命安全で美味しいものをつくっていく。こういう考え 方が、「食べ物という世界の本質」なのではないでしょうか。
日本の高度成長やバブルは、食べ物の世界を経済と同じ物としてと らえ、買ってやっている、売ってやっているというような対立関係、 分離が進んでしまったのではないかと考えます。
地球人倶楽部は、会員の皆様の協力を得ながら小さな力であって も日本の農業の灯火を消さないよう、生産者の育成に努力していき たいと考えています。

  ここで今一度、食べ物の値段、食べの価値、食べ物の本質とはいったい何であるのか、 みなさまとともに考えていきたいと思います。
私たちの生命を維持し、育んでいく源となる食物は、単なる「物」 ではありません。そうした本当の食べ物を作り育てていく生産者を 真に応援し、そうした方々がきちんと生活していける土壌を作り上 げていくことこそ、私たちの役割であると感じています。
さて、食べ物は、お金さえあればどこからでも買ってこられる。
本当にそうなのでしょうか? お金があっても食べ物が買えない日 のくることを日本人は知らなければならないのではないでしょうか。


年が明け、様々な商品の値上げの要請が届いております。
飼料の値上がり、世界的な不作によるドライフルーツやナッツの値上げ、包装 資材にはじまり運賃コスト...、並べればきりがありません。生産者の実際的な 負担を考えれば、認めないわけにはいかないものの、地球人倶楽部としては、 皆様に安全でおいしい野菜をもっと食べていただければと、根物野菜をはじめ とするもっとも基本的な野菜類を値下げいたしました。
わずかばかりの還元ではありますが、日々召し上がっていただくことで、生産 者の皆様を応援していただければ幸いでございます。
畑と都会の関係をもっと身近に、私たちの食がたくさんの人に支えられ、また、 私たち生活者が支えているという実感を味わっていただければ、と思います。

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