第4回 食について思うこと

2009年11月23日

中国冷凍ギョウザ中毒事件は、メタミドホス混入事件から残留農薬問 題へと発展しています。
消費者の中国食品離れも進み、国産のニンニク、にら、長葱などには 引き合いが殺到し、早々に影響が出はじめています。食糧輸入大国日本、 経済大国でもある日本のアキレス腱が、このひとつの事件ではっきり と浮かび上がってきました。
中国やインドなどの経済成長は、かつての日本の高度成長時代の再現 をみるようです。説明すべくもなく中国の発展成長は、所得格差はも ちろんのこと、世界の経済への影響は大変大きなものになっています。
食糧問題でいえば、中国人の生活が向上し豊かになっていく中で、中 国の食料品の輸入増加はめざましく、例えば今まで食すことのなかっ たマグロの刺身を中国富裕層の人々が食しはじめたことで日本市場が 影響をうけていること。また、家畜の飼料となるとうもろこしや大豆 の価格上昇の一因は、中国の消費拡大によるものであることはご承知 のとおりです。中国の人々が1 日卵を1個食べるのを2個にしたら、 オーストラリア一国の穀物生産量のすべてを必要とするという試算も あります。早い段階で中国は、食料品を自給できず、輸入する国になっ ていくことを考えると、中国に多くの農産物や加工食品を依存してい る日本は、どのようなことになっていくのか、日本政府の考えを知り たいところです。
 さて、食糧自給は、以上ほんのわずかなエピソードからでも想像が できるほど食糧安保ともいうべき性質をもっています。今後世界的な 食糧危機も予測される中、お金を出しても食糧が買えないということ を想定しなければならない大きな問題なのです。中国がダメなら、国 産のもので、と今多くの日本人がそのように考えていますが、実際今 現在、厚生労働省の発表から解ることは、お米と芋で頑張りましょう という寒い話です。
今回のギョウザ中毒事件から発展しつつある中国産ボイコット運動は、 反対に中国の日本への輸出ボイコットを発生させるでしょう。

そうした流れは両国ともに困ることですが、本当に困るのは日本であっ て、日本が使えるカードはないも同然なのです。頼りにすべきは、国 内農国内農業となってきますが、ご承知のように衰退への道をまっし ぐらに進む現在、日本は、政府はもちろんのこと、国民ひとりひとり が真剣に食べ物の生産という生命産業に向かい合っていかなければな らない時期にきたように思います。
 今現在、日本の農政は、未来へと向かう大きなヴィジョン、指針の ないままに進んでいるように思われます。
自給率を上げるために、どのような作物を、どのように、誰が作って いくのか。環境の保全と農業をどのように結びつけていくのか。生活 者の求める安心、安全な作物の生産と農業従事者のリスクをどのよう に解決していくのか...。国や生活者は、何を負担すべきなのか。改定 を待つ有機JAS法は、日本の農業をどの方向へと導くために制定す るのか等々。
地球人倶楽部のできることは、こうした問題の中でまるで塵のような ものです。しかしながら、毎日の食をお届けするとともに、今、農業 が抱えている問題を会員の皆様に正直にお話しすることで、皆様の毎 日の暮らしの中にこうした世界的な問題が包括されていることを感じ ていただければと、今思うことをお話ししてみました。
3 月には熊本で九州の有機農業生産者20 名の皆さんが集まり、研究会 が開かれます。私も参加者として有機農産物を販売する立場から話を してまいりますが、参加者の皆さんは、地球人倶楽部の考え方に共感 して私たちを応援してくれる方々です。
研究会の内容につきましては改めて、このシリーズの中でご報告させ ていただきます。お楽しみに。

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