第17回 有機農業について「日光」

2009年11月05日

有機農業シリーズも、会員の皆様の暖かいご支援に支えられて(?)第17回を数えることとなりました。私の文章は、言い回しも悪く、難解で、会員の 皆様はあまり読んでいらっしゃらないのでは、というスタッフの声も一部あることを重々承知しており、あえて?マークをつけた次第ですが、本当にたまにでは ありますが、会員様よりいただく励ましのコメントに心をよくして勇気百倍、またまた性懲りもなく原稿に向かっているところです。

 心理学者のジュス・レアーは、
   「ほめ言葉は、人間に降り注ぐ日光のようなものだ。
   それなしには、花開くことも、成長することもできない。
   われわれは事あるごとに批判の冷たい風を人に吹き付けるが
   ほめ言葉という暖かい日光を人に注ごうとはしない」

 批判によって人間の能力はしぼみ、励ましによって花開く。ということでしょうか・・・・。
また、こんなことを話しているとスタッフに何かといわれますので、このあたりにしましょう。

 さて、今週は私たち地球人倶楽部の有力な生産者である折本有機野菜出荷組合の加藤会長と今年の秋以降の農産物の契約栽培について打ち合わせをして参りました。
折本有機野菜出荷組合は、加藤会長以下15軒の農家が集まって作っている組合です。8年前より本格的に有機栽培に取り組み、品質の優れたほうれん草、小松 菜等の農産物を栽培、都市型農業の成功例として全国的にも有名になり、遠方からの見学者も数多くこられる状況にあります。第三京浜の港北インターを降りれ ば、そこはもう折本町。都市型農業の典型を見るように、町の背後には現在開発途中にある港北ニュータウンが控えています。
以前この地域は、横浜といえども山また山、豊かな自然が残されたタヌキの棲み家であったのです。

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  今は都市開発事業が着々と進む中で、昔のその姿はほとんど留めておりませんが、折本の皆さんは、その開発の波をかぶることなくも先祖伝来の土地を守り、農業専用地域の認定を受けて、将来にわたって農業を続けてゆく姿勢を強く打ち出しているところです。
幸いにして若い後継者が多く育っていることもあり、地球人倶楽部にとっても、本当に心強い仲間といえます。

 加藤会長のお宅には、来期の契約の話でおじゃましましたのに、その話もそこそこ、二人で早速はたけ回りに出かけました。キュウリ、トマト、なす、べか菜、玉ねぎ畑など。
あちこちを歩いては農産物の品質談義に花を咲かせるわけですが、今回はその一部を会員の皆様にお話させていただきたいと思います。

井上 「加藤さん、このナスは形がいいねぇ」
加藤さん 「うん、そうだね。丹精こめてんから。」(横浜といえども少々訛りあり)
井上 「皮もやわらかいしね・・・」
加藤さん 「うんうん、このナスもそうだけんど、秋にとれる露地のナスはもっとうまいよ」
井上 「露地もののナスは、風次第だよね。」
加藤さん 「うん、そうだよね。風とお天気さえ続けばね・・・」

と、こんな具合に話をしながらあちらこちらの畑を回るのです。

    「そのタマネギどうしたのよ・・・」
    「いやいや自家用のタマネギだけんども、たくさんとれて食い切れないから
      地球人へ出そうとおもってんのよ」
    「いいタマネギだね。形もいいし、重みもある。」
    「うんうん、来年はタマネギとジャガイモ持作ろうかと思ってんだよ。」
    「そう、いいね。楽しみだね」
こんな会話の中で、来年の作付け計画が決っていきます。
    「加藤さん、このキュウリ終わりだね」
    「うん、もう出せないね」
    「この間、ウチの担当者がキュウリが良くないんで引き取れないと言って
      ○○さんと少しもめたようだね」
    「ウン、そうらしいな。自分からも注意はしたけんどもな、お客さんが食べても
      うまかないものでも出そうとするもんも、たまにはいるからな。気をつけないとな。」

 悪気はなくても、農産物は私たちにとってのサラリーと同じ。正直にいって、生産者の心の中には、せっかく作ってもったいない、という気持ちも確かにあるのです。そこを敢えて「うまかないものは出荷しない」という加藤さんの言葉には含蓄があります。
  都市型農業については、とかく資産を守るためだとか、何もこんなところで農業に固執することもない、といった言葉がささやかれますが、そう一概にいえたものではありません。
確かに周りがたべて開発されていく中で、たった一軒残って農業を続ける(バブルのころの地上げを思い出してください)ことは、意固地ととられるかもしれません。
しかし、それを都市型農業と呼ぶのは誤りです。
申し訳程度の農業ではなく、東京・神奈川といった大消費地には、ことのほか東京産、神奈川産の野菜が出荷されているのをご存知ですか。
納品が近いから鮮度も抜群、運賃も低く抑えられる近郊型農業は、まさに理想です。
そして、ここ折本のように、いち早く生活者のニーズに応えるべく、有機農業に切り換え、専業農家として頑張っている人々も少なくありません。

 そういえば、加藤さんの跡継ぎの息子さんが言っていました。
「農業って、以外と孤独なんですよ。もくもくと自分ひとりで働く・・・。以前はスーツを着て出勤していく友達を見て、自分はこれでいいのかな、って思ったこともありますよ。
市場に出荷して値段がつく・・・。いくらいいものを作ったって、市場にものがあふれていれば、せっかく作った野菜なのに詰める箱代にもならないことだって あったんだから。でもね、かっこよく言ってるわけじゃないけれど、これからは農業の時代だって思いますよ。
有機栽培にかえて、一生懸命試行錯誤して・・・。今はこれでよかったって満足してますよ。」

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 二人でブツブツと言いながら何時間も畑回りを続け、気がつけば久しぶりに顔を出した太陽も西に傾いていました。

 おいしい野菜が届いたら、生産者のことを少しばかり思い出してください。ちょっと不満な野菜が届いたら、ご遠慮なくお知らせください。
そして、本当に満足する野菜が届いたなら、どうぞ、あたたかい日光のようなお声をお寄せください。そのファンレターは、生産者にお届けいたします。
きっと、みんな喜んでくれると思います。

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