コラム
雪の下で甘くなる、冬菜(とうな)のはなし。 新潟生まれの菜っ葉の、いちばんおいしい食べ方
「冬菜(とうな)」という野菜をご存じでしょうか。スーパーではあまり見かけないけれど、新潟の人にとっては冬の食卓に欠かせない、特別な菜っ葉です。女池菜(めいけな)という名前で呼ばれることもあります。
はじめて食べた人の多くが「ほうれん草より甘い」と驚きます。その甘さには、ちゃんとした理由があるのです。
冬菜って、どんな野菜?
冬菜は、小松菜やかぶと同じアブラナ科の仲間です。春に向かって伸びてくる若い「とう」(つぼみのついた茎)の部分を食べることから、「とうな」という名前がついたと言われています。
新潟では昔から各家庭で種を採り、また翌年まくという昔ながらの育て方が受け継がれてきました。だから作る地域や農家さんによって、呼び名も味わいも少しずつ違うのだそうです。新潟の冬には、なくてはならない野菜です。
なぜ、こんなに甘いの?
冬菜の甘さの秘密は、新潟の厳しい冬にあります。秋に種をまき、初雪で一度雪につぶされ、それでもまた立ち上がって育つ——豪雪地帯ならではの、たくましい菜っ葉なのです。
植物は寒さにさらされると、凍ってしまわないように自分の中に糖をためこみます。人間が寒い日に体を温めようとするのと同じで、冬菜も寒さに耐えるために甘くなるのです。雪が深いほど、寒さが厳しいほど、冬菜は甘くなる。まさに雪と寒さが生んだ味わいです。
独特の歯ごたえと、わずかなほろ苦さ。そして、すっと広がる気持ちのいい甘さ。この甘みこそが、厳しい冬を乗り切るために冬菜がたくわえた、生きる力そのものなのです。
冬菜の、いちばんおいしい食べ方
冬菜の魅力を最大限に味わうなら、やっぱり「おひたし」がいちばんです。シンプルだからこそ、冬菜本来の甘みとほろ苦さがまっすぐに伝わります。
冬菜のおひたし(基本のレシピ)
① 冬菜はよく洗って、根元の土を落とします。
② 鍋にたっぷりのお湯を沸かし、塩をひとつまみ入れます。
③ 火の通りにくい軸の部分から先にお湯へ。30〜40秒ほど。
④ 続いて葉の部分も入れ、さらに20秒ほど茹でます。
⑤ ザルにあげて冷水でさっと冷やし、水気をしっかり絞ります。
⑥ 食べやすい長さに切って、かつお節とお醤油をかければ完成。
ここでひとつだけ、大切なコツがあります。冬菜は茹ですぎると、せっかくの甘みと食感が逃げてしまいます。軸の太いものに合わせて少し早めに火を止めるのがコツ。「ちょっと早いかな」と思うくらいでちょうどいいのです。太い軸が気になるときは、包丁で軽く切り込みを入れておくと、火の通りが均一になります。
おひたしだけじゃない、冬菜の楽しみ方
冬菜はおひたし以外にもいろいろ使えます。さっと茹でて辛子和えにすれば、ほろ苦さが引き立つ大人の一品に。お味噌汁の具にすれば、汁にも甘みが溶け出します。油揚げと一緒にさっと炒め煮にするのも、ご飯がすすむおいしさです。
新潟では、刻んでご飯に混ぜた「菜飯」も親しまれています。冬菜の緑が白いご飯に映えて、見た目にも春の訪れを感じさせてくれます。少しのほろ苦さが、不思議とくせになります。
採れたてだから、おいしい
冬菜には、ひとつだけ弱点があります。採ってから時間が経つと、すぐに固くなり、甘みも抜けてしまうのです。「とうなは採れたてが一番」と新潟の人が口をそろえて言うのは、このためです。
だからこそ、冬菜のおいしさを本当に味わうには、鮮度のよいものを手に入れることが何より大切。地球人倶楽部では、新潟の農家さんが昔ながらの自家採種で大切に育てた冬菜を、旬の時期に産地から届けています。雪の下で甘くなった冬菜が、その鮮度のまま食卓に届く——この時季ならではの、ちょっとした贅沢です。
旬の冬菜をはじめ、雪国や全国の農家さんが育てた季節の有機野菜は、地球人倶楽部の「おためしセット」でも気軽にお試しいただけます。採れたての甘さを、ぜひご家庭の食卓で。
スーパーではなかなか出会えない冬菜。もし手に入る機会があれば、ぜひ一度、おひたしで味わってみてください。雪の下でじっと甘さをたくわえた菜っ葉の、やさしい味わいに出会えるはずです。
監修者:地球人倶楽部 編集部