毎日のバナナを、選びなおす。 ── エクアドル・プリエイト農園のスイートバレリーが教えてくれること
COLUMN / 生産者のはなし
毎日のバナナを、選びなおす
エクアドル・プリエイト農園のスイートバレリーが教えてくれること
スーパーで手に取るとき、値段を見ることはあっても、どこの国で誰が育てたものか、どんな処理を経て棚に並んでいるのかを考える人は、まだ少ないかもしれません。一度立ち止まって、そのバナナの「来た道」を想像してみると、見えてくるものがあります。
1日本人とバナナ、その知られざる現実
日本は世界有数のバナナ消費国です。一人あたりの消費量はりんごに迫るほどで、国内に流通するバナナの大部分は輸入品。なかでもフィリピン産が長く大きなシェアを占めてきました。
バナナの栽培には、多種類の農薬が使われるとされています。殺菌剤・防虫剤・除草剤の空中散布はもちろん、実を包む袋に殺虫剤が練り込まれているものもあります。産地では、高濃度の農薬にさらされる労働者の問題も、国際機関が繰り返し指摘してきました。
さらに、日本の植物防疫法により、輸入バナナはすべて「青い未熟な状態」で入国しなければなりません。そして港の検疫で害虫が見つかった場合には、薬剤によるくん蒸処理が施されます。このくん蒸処理には表示義務がなく、買う側にはわかりません。有機農園で丁寧に育てられたバナナも、この段階でくん蒸されれば「有機バナナ」の表示はできなくなります。
2有機バナナが、日本にごくわずかしか流通しない理由
日本に輸入されるバナナのうち、有機バナナが占める割合は全体の1%にも満たないとされています。理由はシンプルで、難しいからです。次の条件を、すべて満たさなければならないからです。
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| 段階 | 満たすべき条件 |
|---|---|
| 畑 | 化学農薬を使わずに栽培すること |
| 輸送 | 約1か月の航海のあいだ、有機の基準を保つこと |
| 検疫 | 輸入検疫でくん蒸処理を受けないこと |
| 加工 | 有機JAS認定を受けた工場で小分け・袋詰めされること |
農薬を使わない畑で育てること。そして、その誠実さを海を越えてそのまま届けること。それがいかに難しく、関わる人たちの丁寧な仕事の積み重ねの上に成り立っているかが、この数字から伝わってきます。
3世界有数の輸出国、エクアドルの恵み
エクアドルは赤道直下に位置する小さな国です。ガラパゴス諸島を擁し、アンデス山脈が縦断するその国土は、バナナにとって理想的な環境に恵まれています。バナナの輸出量では世界最大級とされる産地です。
プリエイト農園グループが大切にしているのは、農薬を使わないことだけではありません。畑で働く人たちの暮らしと尊厳を守るという意志もそこに含まれています。過去には日本向けに「サニートバナナ」として出荷していた経験もあり、日本の検疫基準や求められる丁寧さを深く理解していることも、このグループの強みです。
4「バレリー種」という、失われかけた選択
スーパーに並ぶバナナのほとんどは「キャベンディッシュ」という品種です。輸送や管理のしやすさから世界中に普及し、いまやバナナといえばこの品種、というほど一般化しています。プリエイト農園が守り続けているのは、それとは異なる「バレリー種」。昔からエクアドルで育てられてきた在来品種です。
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| キャベンディッシュ | バレリー種 | |
|---|---|---|
| 位置づけ | 世界中に普及した主流品種 | エクアドルの在来品種 |
| 味わい | 標準的なバナナの味 | 酸味が少なく甘みが強い。香りがよく、奥行きのある風味 |
| 食感 | やわらかい | 果肉がもっちりとしている |
| 流通 | 輸送・管理がしやすい | 手間がかかる |
効率を重視すれば、流通に適した品種に統一するのが合理的です。それでも農園は、そうしませんでした。手間がかかっても、昔ながらの品種を絶やさないという選択を、いまも続けています。
5届くまでの、すべてに意味がある
エクアドルの肥沃な大地で、化学農薬を使わずに育てられる。検疫でくん蒸処理を受けることなく、有機の証明を保ったまま、約一か月の航海を経て日本へ。有機JAS認定を受けた工場で丁寧に袋詰めされ、やがて青い状態で届く。
青いまま届くのは、規則だからではありません。それが本来の姿であり、そのあと自然の流れで追熟させてから食べることで、土地の力がいちばんきれいに舌に届くからです。
地球人倶楽部でのお取り扱いについて
地球人倶楽部では、プリエイト農園のスイートバレリーバナナをお取り扱いしています。安いからではなく、どこで誰が、何のために育てたのかを選ぶこと。毎日食べるものだからこそ、その背景を知ることが大切だと私たちは考えています。
よくある質問
Q. 有機バナナは、なぜ日本ではあまり見かけないのですか?
A. 日本に輸入されるバナナのうち有機バナナの割合は1%にも満たないとされています。有機栽培であることに加え、輸入検疫でくん蒸処理を受けないこと、有機JAS認定を受けた工場で袋詰めされることなど、すべての工程で基準を保つ必要があるためです。
Q. 輸入バナナのくん蒸処理は、表示されますか?
A. 表示義務はありません。日本の植物防疫法により輸入バナナは青い未熟な状態で入国し、検疫で害虫が見つかった場合には薬剤によるくん蒸処理が行われます。有機農園で育てられたバナナでも、この段階で処理を受ければ「有機」の表示はできなくなります。
Q. バレリー種は、普通のバナナと何が違いますか?
A. スーパーで一般的なキャベンディッシュに比べ、酸味が少なく甘みが強く、果肉がもっちりとしているのが特徴です。エクアドルで昔から育てられてきた在来品種で、輸送や管理には手間がかかります。
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※本記事は、産地・輸入制度・品種に関する一般的な情報を紹介するものです。検疫制度や流通の状況は変更される場合があります。