レシピ からだのはなし English

NEWS

コラム

放牧牛乳と、普通の牛乳。 牛の「生き方」が、ミルクの味と質を決める理由

COLUMN / たべものの話

放牧牛乳と、普通の牛乳
牛の「生き方」が、ミルクの味と質を決める理由

白いパックからは見えない、その一杯の来歴。

売り場に並ぶ白いパックからは、その乳を産んだ牛がどのような場所で、何を食べ、どのように過ごしたかはほとんどわかりません。「放牧牛乳」という言葉を目にしたことはあっても、普通の牛乳との違いを問われると、答えに迷う方が多いのではないでしょうか。

牛の生き方は、乳の質に直結します。その事実を知ることで、毎朝の選択が変わります。

1日本の酪農の現実——牛舎飼育という多数派

日本の酪農の大部分は、牛を通年牛舎内で飼育する形式(舎飼い・繋ぎ飼い)です。限られたスペースで管理することで効率よく乳量を確保でき、大規模な経営に適した方式です。一方で、牛が牧草地を自由に歩き回る機会は限られます。

日本の乳牛の多くはホルスタイン種で、高い産乳能力を持つよう品種改良されてきました。その泌乳量を維持するため、濃厚飼料(トウモロコシや大豆粕を主体とした配合飼料)が与えられるのが一般的です。この飼育方法自体がただちに問題というわけではありませんが、牛本来の生態から離れた環境であることは確かです。

→ 表は横にスクロールできます

舎飼い(多数派) 放牧
牛のいる場所 通年、牛舎の中 季節に応じて牧草地に出る
主な飼料 濃厚飼料(トウモロコシ・大豆粕など)が主体 牧草が主体(グラスフェッド)
向いている点 効率よく乳量を確保でき、大規模経営に適する 牛が動き回り日光を浴びる。ストレスが少ない
取り組む地域 全国 北海道・岩手・九州など、牧草が育つ条件に恵まれた地域

放牧といっても、完全放牧から一定期間のみの季節放牧まで幅があり、方式は農場によって異なります。

2グラスフェッド——牧草で育つということ

牛が牧草を主体に食べて育つことをグラスフェッド(草飼い)と呼びます。牧草を食べた牛の乳は、濃厚飼料を主体にしたものと脂肪酸の組成が異なるとされています。牧草に含まれる成分が、そのまま乳に反映されるためです。

わかりやすい違いのひとつが色です。牧草はカロテンを多く含むため、グラスフェッドのバターやクリームは自然な黄みを帯びることがあります。

ただし、こうした栄養面の差が毎日の食事に体感できるほどの違いを与えるかどうかは、食事全体のバランスや個人差によります。断定できる話ではありません。それでも毎朝飲むものだからこそ、その積み重ねのなかで素材の質を意識することには意味がある、と私たちは考えています。

3抗生物質と牛乳——知っておきたい現状

酪農の現場では、乳房炎などの感染症治療のために抗生物質が使われることがあります。治療中の乳は廃棄され、休薬期間を経たあとに出荷されるため、市販の牛乳から抗生物質が検出されることはほとんどありません。

ただし、抗生物質への依存度が高い環境は、動物福祉の観点から課題が残ります。放牧など牛にとってストレスの少ない環境は感染症のリスク自体を下げる働きがあり、結果として抗生物質に頼る必要が減るという側面もあります。

4殺菌方法という、もうひとつの分かれ道

牛乳を選ぶとき、殺菌方法に注目する方が増えています。市販牛乳の多くは超高温短時間殺菌(UHT)で処理されており、保存性が高まる一方、熱に弱いビタミン類や酵素の一部が失われます。

→ 表は横にスクロールできます

殺菌方法 条件 特徴
UHT(超高温短時間) 130〜150℃で2〜3秒 市販牛乳の多く。保存性が高い。熱に弱いビタミン類や酵素の一部は失われる
HTST(高温短時間) 72〜75℃で15秒 風味が比較的よく残る
LTLT(低温長時間) 62〜65℃で30分 風味が豊かで、素材本来の味わいに近いと言われる

どれが正しいという話ではありません。ただ、同じ「牛乳」という名前で並んでいるものの中身が、これだけ違うということです。

5「何を食べさせるか」が、乳の質を決める

牛乳の質は、牛が何を食べたかの反映です。健全な牧草で育った牛は健康であり、その健康が乳の質の土台になります。毎朝グラスに注がれる一杯が、どのような牧草地から、どのような牛の生き方から届いているのか。その背景を知ることで、日常の一杯がすこし豊かな意味を持ちはじめます。

地球人倶楽部でのお取り扱いについて

地球人倶楽部が乳製品を選ぶ基準は、「動物福祉の考え方に則り、清潔で動物の生理に配慮した飼育環境と安全な飼料」です。飼育環境だけでなく、殺菌方法まで含めて選定しています。牛乳という食材の本質を問い続ける姿勢の表れだと考えています。

よくある質問

Q. 放牧牛乳と普通の牛乳は、何が違うのですか?

A. 牛の育ち方が違います。日本の酪農の大部分は通年牛舎で飼育する舎飼いで、濃厚飼料が主体です。放牧では牛が季節に応じて牧草地に出て草を食み、日光を浴びて自由に動き回ります。牧草を主体に育つことをグラスフェッドと呼び、乳の脂肪酸の組成が異なるとされています。

Q. 市販の牛乳に抗生物質は残っていますか?

A. ほとんど検出されません。乳房炎などの治療中の乳は廃棄され、休薬期間を経たあとに出荷される仕組みになっているためです。ただし抗生物質への依存度が高い環境は動物福祉の観点から課題が残り、ストレスの少ない環境は感染症のリスク自体を下げるとされています。

Q. 牛乳の殺菌方法には、どんな違いがありますか?

A. 主に三つあります。UHT(超高温短時間・130〜150℃で2〜3秒)は市販牛乳の多くが採用し保存性が高い一方、熱に弱いビタミン類や酵素の一部が失われます。HTST(72〜75℃で15秒)、LTLT(低温長時間・62〜65℃で30分)は風味が豊かで、素材本来の味わいに近いと言われています。

TRIAL SET

ひとつ変えると、台所が変わりはじめる。

季節のお野菜に、日本橋の名店「アルポンテ」監修のメカジキ料理、
国際大会で金賞に輝く飛騨こしひかりまで。人気の品を、おまかせでひと箱に。

8,800円相当が 2,980円(税込・初回限定)

送料無料(※自社便エリア限定)

お試しセットを見てみる


※本記事は、飼育方法と製法に関する一般的な情報を紹介するものであり、特定の疾病の予防・治療・改善その他医薬品的な効果効能を示すものではありません。栄養面の差が体感できるかどうかは食事全体のバランスや個人差によります。