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放牧牛乳と、普通の牛乳。 牛の「生き方」が、ミルクの味と質を決める理由

放牧牛乳と、普通の牛乳。
牛の「生き方」が、ミルクの味と質を決める理由

毎朝の一杯、料理の隠し味、子どもへの栄養補給——牛乳は日本の食卓に深く根ざした食材です。しかしスーパーの牛乳売り場に並ぶ白いパックからは、その乳を産んだ牛がどのような場所で、何を食べ、どのように過ごしたかはほとんどわかりません。「放牧牛乳」という言葉を目にしたことはあっても、普通の牛乳との違いを問われると答えに迷う方が多いのではないでしょうか。

牛の生き方は、乳の質に直結します。その事実を知ることで、毎朝の選択が変わります。

日本の酪農の現実——牛舎飼育という多数派

日本の酪農の大部分は、牛を通年牛舎内で飼育する形式(いわゆる舎飼い・繋ぎ飼い)です。限られたスペースで管理することで効率よく乳量を確保できるため、大規模な酪農経営に適した方式です。一方で、牛が牧草地を自由に歩き回る機会は限られます。

日本では乳牛の多くがホルスタイン種で、高い産乳能力を持つよう品種改良されてきました。高泌乳の維持のため、濃厚飼料(トウモロコシや大豆粕を主体とした配合飼料)が与えられることが一般的です。この飼育方法自体が即座に問題というわけではありませんが、牛本来の生態から離れた環境であることは確かです。

放牧飼育とは何か——牛が「牛らしく」いられる環境

放牧飼育では、牛が季節に応じて牧草地に出て草を食み、日光を浴び、自由に動き回ることができます。北海道や岩手、九州など、牧草が育つ条件に恵まれた地域で取り組まれており、放牧期間や方式は農場によって異なります。完全放牧から、一定期間のみ放牧する季節放牧まで幅があります。

牛が牧草を主体に食べて育つことを「グラスフェッド(草飼い)」と呼びます。グラスフェッドの牛乳は、濃厚飼料を主体にしたものと比べて脂肪酸の組成が異なります。牧草には共役リノール酸(CLA)やオメガ3系脂肪酸が豊富に含まれており、牧草を食べた牛の乳にはこれらが反映されます。

グラスフェッドミルクの栄養的な特徴

牧草を主食に育った牛の乳には、いくつかの栄養的な特徴があります。まずオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸のバランスです。現代の食生活ではオメガ6の過剰摂取とオメガ3の不足が指摘されていますが、グラスフェッドの乳はこのバランスが比較的良好とされています。次に共役リノール酸(CLA)の含有量です。CLAは体脂肪の代謝や免疫機能に関わるとされ、グラスフェッドの乳製品に多く含まれるという研究報告があります。また、βカロテンの含有量が多いため、バターやクリームが自然な黄みを帯びることもグラスフェッドの特徴のひとつです。

もちろん、これらの栄養的な差が体感できるほどの違いを毎日の食事に与えるかどうかは、食事全体のバランスや個人差によります。しかし毎朝飲む牛乳だからこそ、その積み重ねのなかで素材の質を意識することには意味があります。

抗生物質と牛乳——知っておきたい現状

酪農の現場では、乳房炎などの感染症治療のために抗生物質が使われることがあります。治療中の乳は廃棄され、休薬期間を経た後に出荷されるため、市販の牛乳から抗生物質が検出されることはほとんどありません。しかし抗生物質への依存度が高い環境は、動物福祉の観点からも課題があります。放牧など牛にとってストレスの少ない環境は、感染症へのリスク自体を下げる働きがあり、抗生物質に頼る必要が減るという側面もあります。

牛乳の「均質化(ホモジナイズ)」と「殺菌方法」

牛乳の選び方では、殺菌方法にも注目する方が増えています。市販牛乳の多くは超高温短時間殺菌(UHT:130〜150℃、2〜3秒)で処理されており、保存性が高まりますが、熱に弱いビタミン類や酵素の一部が失われます。低温長時間殺菌(LTLT:62〜65℃、30分)や高温短時間殺菌(HTST:72〜75℃、15秒)の牛乳は、風味が豊かで素材本来の味わいに近いと言われています。地球人倶楽部が取り扱う牛乳は、動物の生理に配慮した飼育環境という基準とともに、殺菌方法にもこだわった選定を行っています。

「何を食べさせるか」が、乳の質を決める

牛乳の質は、牛が何を食べたかの反映です。健全な牧草で育った牛は健康であり、その健康が乳の質の土台になります。地球人倶楽部が取り扱うデイリーフーズの基準——「動物福祉の考え方に則り、清潔で動物の生理に配慮した飼育環境と安全な飼料」——は、牛乳という食材の本質を問い続ける姿勢の表れです。

毎朝グラスに注がれる一杯の牛乳が、どのような牧草地から、どのような牛の生き方から届いているのか。その背景を知ることで、日常の一杯がすこし豊かな意味を持ちはじめます。

監修者:地球人倶楽部 編集部

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