コラム
「あまおうを、有機で。」――農業の常識に挑んだ、伊世いちご畑の果実。
真っ赤で艶やか。私たちが冬から春にかけて当たり前のように楽しんでいる「いちご」ですが、その愛らしい姿の裏側で、栽培がいかに病害虫との過酷な闘いであるかをご存知でしょうか。
本来、いちごは非常に繊細な植物です。一般的な栽培においては、幾度となく農薬を使用し、徹底的に「保護」しなければ、あの美しい果実を実らせることは極めて困難とされています。
ましてや、大粒で強い甘みが特徴の品種「あまおう」となれば、そのハードルはさらに跳ね上がります。
「有機栽培のあまおう」。
農業の常識を知る人であればあるほど、その言葉の矛盾に首を傾げるはずです。それは不可能に近い、と。
しかし、その「不可能」に真っ向から挑み、見事に形にしているのが、福岡県にある『伊世いちご畑』です。
彼らの畑には、不自然なほどの均一さはありません。そこにあるのは、微生物が豊かに呼吸し、多様な命が共生する「生きた土」です。肥料や農薬で強制的にコントロールするのではなく、いちご自身の「生きる力」を極限まで引き出す。過酷な自然環境を、自らの根で力強く乗り越えたいちごだけが持つ、野性味とエネルギーがそこにはあります。
一口かじってみてください。
ただ表面的に甘いだけではない、複雑で深い香り。細胞の隅々まで染み渡るような、力強いコク。それは、私たちがいつの間にか忘れてしまった「植物本来の命の味」そのものです。
1988年の創業以来、Chikyu-jin Clubが探求し続けてきたのは、まさにこうした「食の完全性(インテグリティ)」です。成分表の数値だけでは語れない、食べる人のウェルネスや健康寿命の礎となる、本当の意味での食べ物。そして、次世代へとバトンを渡していける持続可能な命の営みです。
伊世いちご畑の有機甘王は、単なる「高級フルーツ」という枠には収まりません。この一粒に込められた途方もない情熱と生命力を、ぜひご自身の五感で受け止めてみてください。