コラム
有機栽培・特別栽培・無農薬・低農薬の違いとは?野菜の表示をやさしく解説
COLUMN / 野菜のはなし
有機栽培・特別栽培・無農薬・低農薬の違いとは?
野菜の表示をやさしく解説

「有機」「特別栽培」「無農薬」――野菜売り場で見かけるこれらの言葉。なんとなく「体によさそう」とは思っても、何がどう違うのかを説明できる方は、多くないかもしれません。
実はこの四つ、基準の厳しさも、法律上の扱いも、まったく別のものです。今日は、野菜を選ぶときの物差しになるよう、ひとつずつ整理してみます。
1有機栽培(有機JAS)― 国が定めた、唯一の「認証」
四つのなかで唯一、法律にもとづく認証制度があるのが有機栽培です。
農林水産省が定めた「有機JAS規格」では、種まき・植え付けの前2年以上(多年生作物は3年以上)、化学合成農薬と化学肥料を使っていない田畑であることが求められます。そのうえで登録認証機関の検査を受け、合格して初めて有機JASマークを付けることができます。
そして大切なのは、「有機」「オーガニック」と表示できるのは、この認証を受けたものだけだということ。認証なしにこの言葉を使うことは、法律で禁じられています。
2特別栽培 ―「地域の慣行の半分以下」という物差し
特別栽培農産物は、国のガイドラインに沿った表示です。基準はいたってシンプルで、その地域で慣行的に行われている栽培と比べて、化学合成農薬の使用回数と、化学肥料の窒素成分量が、どちらも5割以下であること。
「有機ほどではないけれど、一般的な栽培よりは、はっきり減らしている」――そう捉えていただくのが正確です。産地や作物によって”慣行”の水準は違うため、基準そのものが地域ごとに変わるのも特徴です。
3「無農薬」「低農薬」という言葉について
ここは、少し正直にお伝えしたい部分です。
「無農薬」「低農薬」は、現在の表示ガイドラインでは使うことが適切とされていない言葉です。「無農薬」は”土壌に残る農薬もゼロ”と誤解を招きやすく、「低農薬」は”どのくらい低いのか”の基準が人によって変わってしまう。それが理由です。
ただ実際には、認証は取っていないけれど、農薬を使わずに育てている生産者は、確かにいます。認証には手間も費用もかかり、小さな農家ほど負担が重いからです。
私たちがこうした野菜を扱うときは、「無農薬」を”公式な等級”としてではなく、「この生産者は、こういう育て方をしています」という説明として使っています。基準ではなく、事実の共有として。
四つを、並べて比べる
| 栽培の種類 | 認証 | 基準 |
|---|---|---|
| 有機栽培 (有機JAS) |
あり (国の認証) |
2年以上、化学合成農薬・化学肥料を不使用 |
| 特別栽培 | ガイドライン あり |
農薬・化学肥料が、地域の慣行比で5割以下 |
| 無農薬栽培 | なし | 農薬を使わずに栽培(生産者の申告) |
| 低農薬栽培 | なし | 事業者ごとの独自基準 |
では、どれを選べばいいのか
「有機JASだけを選べば安心」――そう言い切れれば簡単なのですが、話はもう少し複雑です。
たとえば、認証は取っていなくても、有機JAS以上に手をかけている生産者がいます。一方で、露地栽培がむずかしい作物では、有機だけで一年中そろえることはできません。旬でない時期に有機を求めれば、遠い産地から運ぶことになります。
だから私たちは、「認証の有無」だけでなく、「誰が、どんな考えで育てているか」を見て選んでいます。1988年の創業から37年、産地に足を運び続けてきたのは、そのためです。
ひとつの箱に、複数の基準を入れる理由
野菜の定期便「土のこよみ」の箱には、有機・特別栽培・無農薬・低農薬の野菜が、混ざって入っています。
これは手を抜いているのではなく、「その週にいちばんおいしい野菜を、基準の枠を越えて選びたい」という考えからです。長野・のらくら農場の萩原さん、京都の梅本さん、四万十有機研究会――季節ごとに、いちばん力のある畑から届きます。
そして、どの野菜がどの基準なのかは、すべて明記しています。選ぶ物差しは、お客様がお持ちになるものだと考えているからです。
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