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改正JAS法に基づき、有機農産物の任意表示が原則禁止され、第3
者機関の認証を得たものだけに「有機」の表示販売が認められることにな
りました。新たな目安の誕生で、買う側にとっては、今後はウソの「有機」
表示が減り、これまでよりも店頭での選択がラクになる、また、有機農産
物の流通業者や出荷先の生産者のいい加減さも多少改まるとの期待もあり
ます。これらは従来、有機表示が曖昧でいまいち信用できないというこれ
までの不信感に裏打ちされた「生産」「流通」「小売り」の領域において、
買う側が安心して買えるという判断材料の1 つとなっていると思われます。
しかしながら一方では、認証を行う第三者機関も有機農産物の流通業者や
有機農産物の組織や出荷先が設立したり、ベンチャー的思考で設立するケー
スも多く見られ、認証そのものの信頼性が問題視されるケースも多発して
いるのが現状であり、有機認証制度の「信頼性」についても懸念されてい
るというのが実情です。 1例目は、福井の生産者のものです。この方は有機米世界のカリスマ的生 産者としてトップクラスといわれていた人です。それは、通常有機米が慣 行栽培の収穫量と比べると、2割〜3割減があたりまえのところで、長年 の経験のもと、有機米で10アール、10 〜 11 俵という慣行栽培に比較してなん の遜色もない収穫量の実績を誇っていたことによります。生産者にとって 収穫量の多さは、成功のひとつであり、多くの生産者が指導仰ぎ、教えを 請うていましたが、何年たっても収穫の上がらない生産者が、その秘訣を 知るためこの先生(生産者)に言わずに、先生の田圃の土壌分析をしたの です。結果は驚くべきもので、この土壌には大量の化学肥料が投入されて いました。この事実はすぐに世に知られることとなり、JAS法違反として 大きな騒ぎとなったわけです。問題は、何故このような化学肥料が大量に 使われているお米をJAS認証したのかということです。その状況を知る ため、私も関係者に取材をしたのですが、結論としては、あまりにも有名 な生産者であったため、本来厳しくチェックすべき項目について、すべて が甘かったというお粗末なものでした。JAS認証を受けるためのチェック ポイントが数多くあり、そのクリアは厳しいものとなっていますが、この ケースは、年間の資材購入の帳簿を見なかったというものです。本人が見せ なかったのか、つけていないといったのか、つけ忘れたといったのか、要 は資材購入履歴の帳簿がなかったというのです。化学肥料を販売した会社 は、大きな会社で、生産者に販売した伝票類は残っているのですが、それを 隠したのです。もちろん隠さざるを得なかったのですが、言うまでもなく 本来は帳簿をみて、何をどこから買っているのか、大きい会社からの資材 購入は、何を購入したのか厳しくチェックなければなりません。有名であ るという安心感が、曖昧さやナアナアな仕事を生んでしまったのではない かと考えます。 もう1 つの例は、千葉県で起こったものですが、こちらも3500 俵という
大型偽装米事件でした。 2 つの有機米偽装事件について触れましたが、千葉のような例は論外とし
ても、福井のケースの場合は、JAS法が土壌分析を行わないことが問題の
本質です。3年間無農薬、無化学肥料であればJAS認証をもらえるとい
うことで、慣行栽培〜有機栽培へ転換する例が増えていますが、この場合、
田畑の残留農薬について何ら触れられていないのです。日本の場合、病害
虫が多発する国ですから、世界で最も多くの農薬あるいは除草剤が田畑に
投入されているということはすでにお話をしました。除草剤の中に含まれ
ていたダイオキシンなどはほぼ永久に消えることはありません。JAS法に
は関係がありませんが、以前にキュウリの中から30 年前の農薬が発見され
たということがありました。これは田畑の奥深くに農薬が残留していたと
いうことで、キュウリなどのウリ系の農産物は、水分を大量に吸収するため、
このような稀な事例がことが起こったと考えられました。 食べ物の本質を1 つの「記号」で表現しようとするのは、たやすいこと ではありません。国内の生産者を育て、日本の農地を守り、世界的な食料 不足の中で、自国の自給率を上げていく中の重要なポジションに有機JA Sはあるべきものと考えます。まずは、土壌の健全性確保のためになすべ きこと、仕上がった農産物が人々の健康のために役立つ物であること。そ のためのチェックポイントを前向きにとらえ、JASが新しい農業の方向へ の指針となることを切に願うものです。 |