私が参加している熊本の有機農業生産者グループの研究会では、年に1
回ないし2回、各生産者の土壌分析を行います。
3月の例会では、その結果について発表があり、人間の健康診断と同じよう
に「あなたの畑の健康度」についての意見交換がなされました。
有機農業の基本は土壌作りであることは言うまでもありませんが、熊本の研
究会では「作物にあった土壌作り」をテーマとして分析が行われ、特に「地力」
の三要素といわれている物理的性質、化学的物質、微生物的性質の3つ
の観点からそれぞれの相互的な関わりを分析して診断し、より健康的な土作
りを目指しているのです。
これらの分析の結果、土壌中の養分状態から作物に合わせた肥料の有無や、
今後投入していく適正な施肥量がわかります。
更には、土壌の保水性や通気性がわかり、水をどのような頻度で与えてい
くか等々のことが解ってくるわけです。
これら様々な分析をした結果、作物に合わせた土作りのアドバイスや提案を
行い、そのことが美味しくて健康な作物が生まれてくることになるのです。
熊本の有機農業研究会では、このような土壌分析を基本にした有機農業を
実践するとともに、月のリズムを利用した有機農業の取り組みも行われてい
ます。
現在、会員の皆様にお届けしているビワの生産者、山田さんもそのひとりです。
月のリズムとは、2 週間サイクルで繰り返すもので、満月(大潮) の日から
2 週間で新月(大潮) になり、それから2 週間でまた満月という繰り返しに
なります。明治以前は、日本もこのような旧暦(陰暦) で人々の営みが行
われていたわけで、昔の人は、月を見て今日が何日かを知っていたといわ
れています。
私たち人間も含めて、生命あるものに及ぼす月の影響は、古来より様々な
神話として語り継がれてきましたが、月が地球に相当な引力を及ぼして、海
の潮汐( ちょうせき) 運動を引き起こすことや、人体の8 割近くが水から出来
ていることを思えば、月の周期というものが、私たち生命あるものに大きな
影響をもたらしているということは、確かなものではないかと考えるものです。
年に一度のサンゴの大産卵は、満月の夜にはじまります。何故満月の夜な
のかはわかりませんが、多くの海の生物たちも満月を利用して産卵している
ことを考えると、大きな意味を持っているものと思われるのです。
人間も動物も海洋生物も、そして植物も、このような月のリズムの中で生
きていることに着目して、それを利用して有機農業をしている山田さんの話
を進めてまいりたいと思います。
月のリズムは、2 週間サイクルとお話を致しましたが、これを植物のリズム
に当てはめてみますと、大潮(満月) のあと1 週間が植物にとっての栄養
生長期であり、そして残りの1 週間が植物にとって生殖生長期となります。
このサイクルを植物は繰り返していくのです。大潮(満月) のあとの栄養
生長期は、植物としての食事である窒素、燐酸、カリウムを欲するので、
こまめに、そして少し多めに与えます。生殖生長期は、もうおなかが一杯
という状況なので、肥料は少なめというように割合を変えていくことになります。
植物は、肥料を水分として吸うわけですから、水を与えるのも多めと少な
めというような対応をしなければなりません。
月のリズムの中で栄養分をほしがる時とほしがらない時を理解して、肥料施
すことが、植物を健康にし、病気の発生を防ぐことになるのです。
月のリズムと連動した有機農業の最も大きなポイントは、どの段階で何が植
物に起こってくるのかを予測することであります。
それはいつ病害虫が発生しやすいのかを予測するということです。長年の
研究の結果、病害虫発生は、大体満月や新月のあと、3 日間に起こるこ
とが多いということが徐々に解明されてきました。
従って、山田さんのビワの場合も、満月と新月のあとに、必ず病害虫の嫌う、
青森ひばの抗菌剤を散布するのです。
ヒバは、もちろん天然のの忌避剤であり、虫が嫌うニオイなので、病害虫よっ
てこないのです。どんな植物も花を出して(ニオイを出す) 虫を呼んで、
受粉をしてもらわけなればならないのですが、ヒバは害虫は寄せ付けず、
良虫は呼ぶことの出来る才能がをもった、大変有効なものといえるのです。
以上のように月のリズムと連動した農業は、病害虫発生の兆候が明確に
解るので、対策を万全にとることができ、植物は大変元気で美味しい農産
物の収穫をもたらすのです。
山田さんのビワを食された会員の皆様は、ひとあじ違う物を感じとられたの
ではないでしょうか。
有機農業は、基本的に農薬を使わないで行う農業です。
自然と共生して行う農業ともいえます。病害虫とも共生して農業を行うという
ことを考えていく中で、宇宙との共生、月のリズムの中での農業という知恵
が編み出されたのです。これらの農産物は、山田さんのビワをはじめとして、
夏場、阿蘇山の高冷地でとれるきゅうり、中玉トマトが無農薬で今後会員
の皆様の食卓にどくことになります。
どうぞお楽しみにしていてください。
今後は、地球人倶楽部の生産者のいる沖縄宮古島で、月のリズムをもと
にした有機農業を生産者育成の一助として行っていくことを計画しています。